「カードボード・カメレオン」ダロー ”Cardboard Chameleon” by Daryl 最小限構成で見せるカードの自在変化

カードボード・カメレオン

ダローの作品として有名なパケットトリック、カードボード・カメレオンのご紹介です。

 

このマジックはダローが1982年のFISM・スイス・ローザンヌ大会でClose-up Card 部門・ゴールドメダル(第一位)を勝ち取ったときに演じられた作品のひとつだそうです。
他にはアルティメット・アンビションを含んだアンビシャスカードなども演じられています。

 

カメレオン的変化をテーマとしたカードマジックは他にもいくつかありますが、このカードボード・カメレオンはその中でもめまぐるしいほどの現象の豊かさ、説得力、そして道具立ての単純さにおいて一歩ぬきんでているように思います。

 

最後に使用したカードを全て改めることが出来るというのも、この種の現象では珍しいアドバンテージですね。

 

カードボード・カメレオンのプロット

この奇術のプロットは、カメレオンの名の通りです。
6枚のカードの裏と表が、何度も自由自在な変化を見せます。

 

カードボード・カメレオンの演技動画を作成しましたので、現象をご存じない方はよろしければご覧下さい。

 

 

このように多段階の変化を見せるパケットトリックにおいては一般に、Elmsley CpountやFlashtration Moveがよく使われるように思います。
カードボード・カメレオンにおいてもFlashtration Moveは一部使用されていますが、補助的なもので、あまりメジャーではない2種類のカウントを駆使することで、説得力のある変化現象を見せています。
その分、少々技術的に難しくなっているのは確かですが、これらカウントの効果がここまで最大限に発揮された作品も少ないと思いますので、練習する価値は充分にあると思います。

 

 カードボード・カメレオンの手順構成の考え方について

多段変化のカラーチェンジ現象のカードマジックにおいては、最後のカラーチェンジはクライマックスまで隠されていて(ディレイド・クライマックス)、そこまで予期されていなかった色に変化して終わり、といったパターンが多いようです。

 

カードボード・カメレオンではそうではなく、変化の可能性の分岐は比較的早い段階から全てのパターンが示されます。
そして、めまぐるしい変化を次々に見せながら、カードの実際の構成へと収束するように現象が進行してゆきます。
その結果として、最後に全てのカードをあらためて見せることが可能となっています。

 

ギミック、あるいはタネの実際の構成に辻褄を合わせるような形で現象を進行させ、最終的に全部の道具を改め可能とする、という手順構成の考え方は、ダローのほかの作品でも見られます。
例えばすぐに思い浮かんだ作品が、彼が商品として売り出しているカラー・チェンジング・ナイフですね。

 

この種の手順構成には、多少の賛否両論がある感じです。
わたしが昔お世話になったあるマジシャンの方は、カードボード・カメレオンの後半部分を「処理の手順やな」と評していました。
確かに処理を第一目的とした手順ではあるのですが、ダローの場合、わざとらしさやこじつけ感なく、現象としても自然な流れでラストに持っていく上手さがあります。
意外性のあるクライマックスという面では劣るでしょうけど、心地よい予定調和とでも言うべきでしょうか。
わたしはこの種の考え方は好きです。

 

個人的なカードボード・カメレオンの思い出

私がこの作品のことを始めて知ったのは、松田道弘氏の1990年の著書「松田道弘のカードマジック」においてです。
はじめてリセットやインターレスト・バニッシュ、コリンズ・エーセスといったカードマジックを知ったのもこの本で、私にとっては思い出深い本です。

 

この本の中には各章の後ろに、その章で触れられたマジシャンを紹介するコラムがありました。
そこで、ダローの紹介とともに代表作のひとつとして書かれていたのが、このカードボードカメレオンだったのです。
思えば、デレック・ディングルのロールオーバー・エーセスなどを知ったのも同じパターンでした。
この本には多くの影響を与えられているとあらためて思います。

 

その後マジックショップで、この作品が商品として発表されているのを見たときは狂喜しました。
商品として買ったそのセットには、今や貴重なゴールデンナゲットのカードなどが付属していましたが、何度も演じるうちに、どこかで紛失してしまいました。
しかしこのカードボード・カメレオン、カード自体には何も仕掛けが無く、単に3種類の異なる裏のカードさえ用意すれば良いので、その後もずっとレパートリーであり続けました。
大学の卒業旅行で訪れた、モロッコの砂漠の町エルフードの宿屋で、現地住民や旅行者を集めて開いた小マジックショーで、このマジックも演じたのを覚えています。
あの演技経験は今でも自己のマジック経験のうちのベストのひとつとして、いつまでも忘れないでしょう・・・

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