「ウイングド・シルバー」デビッド・ロス “Winged Silver” by David Roth

Winged Silver David Roth

現代コインマンの最高峰の一人、デビッド・ロス。彼の代表作といえば何でしょうか?
ハンギングコイン?ポータブルホール?
人によって多少意見は違うかも知れませんが、おそらくほとんどの方がウイングド・シルバー”Winged Silver”を含めるのではないでしょうか。

 

発表されてから30年以上の年月を経た今も、ウイングド・シルバーはそのシンプルな魅力によって多くのコインマンを惹きつけ続けている作品です。

 

ウイングド・シルバーとは

ウイングド・シルバーは、一言で言えばコインズアクロスの一種です。
つまり、コインが手から手に移動する現象ですね。
中でもこの作品はごくシンプルに、4枚のコインが1枚ずつ、手から手へ移動して終わる形のもので、コインズアクロスのひとつの基本形と言えるでしょう。
羽の生えた銀貨ということで、飛行するコインという意味合いの名称です。

 

私の実演動画を作成しましたので、ご覧ください。

 

この動画は原案の手順ではなく、バリエーションである”High Flying Winged Silver”です。
“High Flying Winged Silver”については後述します。

 

原案手順については、Youtubeのこの動画の0:45から1:28までの部分が、デビッド・ロス氏本人によるウイングド・シルバーの演技ですので参照してください。

 

ウイングド・シルバーをデビッド・ロスの代表作として有名たらしめた一番の要因は、シャトル・パスという技法をおいて他にないでしょう。
シャトル・パスとエッジ・グリップは彼の創案になる2大技法と言ってもよく、彼以降のコインマジックのバックボーンを形成している感があります。
そしてエッジグリップを有名にした奇術作品がハンギング・コインであれば、シャトルパスについて同じことが言えるのがウイングド・シルバーであるということは論を待たぬ事実です。

 

ウイングド・シルバーという奇術そのものは、ロスの創案というわけではありません。
1952年に出版されたJ.B.Bobo著「モダン・コインマジック」に、Nelson C. Hahneによる同名のコインズアクロス手順が掲載されています。
この本はコインマジックのバイブルと言える本で、デビッド・ロスもこの本によって、コインマンとしての基礎を築きました。

 

モダン・コインマジックに掲載のウイングド・シルバーも、方法論的にはロスの手順と同じです。
枚数の構成や現象も同じですが、ここではメインの技法として従来からあるユティリティー・ムーブというテクニックが多用されています。
デビッド・ロスは、このユティリティー・ムーブを自身の考案したシャトル・パスに置き換えることによって、作品全体のイメージを格段にスマートなものとしました。

 

シャトル・パスはユティリティー・ムーブのバリエーションですが、現代的なコインマジックの見せ方にマッチした応用範囲の広い技法です。
ウイングド・シルバーでのシャトル・パスの使い方はそれほど凝ったものではなく、むしろベーシックとさえ言える用法かも知れません。
しかしそれだけに、シャトル・パスがウイングド・シルバーという奇術の印象をそのまま左右するとも言えます。

 

1979年にデビッド・ロス氏が初めて来日したとき、ウイングド・シルバーのあまりのクリーンな印象に、日本のマジシャンは驚愕したと聞きます。
それもやはり、彼の演じるシャトル・パスに驚いたという意味あいが大きかったのだと思います。
なお、デビッド・ロスのシャトル・パスに関する詳細な調査研究が、フレンチドロップの石田隆信氏のコラムに掲載されていますので、興味のある方は一読をお薦めします。

 

ウイングド・シルバーのバリエーションと関連作品

まずオリジナルと言えそうな作品が、上述のNelson C. Hahneによるもので、これはJ.B.Boboの”Modern Coin Magic”に掲載されています。

 

またデビッド・ロス自身によるバリエーションとして、リチャード・カウフマン著”COINMAGIC”掲載の”High Flying Winged Silver”、”Expert Coin Magic”掲載の”Winged Silver on Edge”があります。
これらは原案にさらに別の技法を付け加えて、見た目のクリアさを高めようとした作品です。
ただし元々シンプルな原案に別の方法論を持ち込むことによって、原案のリズムが多少崩れているという見方もありうるかも知れません。

 

二川滋夫氏著「基礎からはじめるコインマジック」には、使うコインを3枚に減らした簡略バージョンが掲載されています。

 

近年話題になったポン太theスミス氏のDVD「Sick」に収録されたウイングド・シルバーは、デビッド・ロスの作品を元にしたものではありますが、使用する技法を大幅に変えることで、かなり異なる印象になっています。

 

日本語での参考文献

ウイングド・シルバーの原案手順の日本語解説としては、「コインマジック事典」があります。
また上述のように「基礎からはじめるコインマジック」には3枚の簡略手順が解説されています。

 

動画で演じた”High Flying Winged Silver”は、カウフマンの”COINMAGIC”の翻訳本である「世界のコインマジック」に、”飛行するコイン”と題して掲載されています。
またこの手順は、1982年来日時のレクチャーノートにも解説されています。

 

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  • @KotouchiS また、件の見せ方自体を"Freeman Display"と呼ぶようでもありますね。 https://t.co/LvGvhyhdKo フリーマンのムーブ自体の正確な形が分からず、メンドーサのノート自体も持っていませんので、詳しいことは分かりませんが……
    about 5日 ago
  • @KotouchiS 調べてみると、確かにフリーマンという情報もありますね。 MagicCafeの下記ページでは、フリーマンの技法だけども、彼は発表しなかったとあります。 https://t.co/AhvfATlMkP
    about 5日 ago
  • @rouis_ymgs @KotouchiS @Seven_Magica ここの動画の冒頭で行われているプロダクションがそうではないでしょうか。 https://t.co/83hzgvDaf7
    about 6日 ago

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