沢浩氏の「てんとう虫」 “Ladybug-Ladybug” by Dr. Hiroshi Sawa 奇術の詩人沢浩氏の代表作のひとつ

沢浩氏のてんとう虫

詩的な情緒あふれるマジックで有名な沢浩氏の作品の中でも、大作真珠物語を別にすれば一番の代表作と思われるのが、今回ご紹介する「てんとう虫」”Ladybug-Ladybug”です。

 

沢浩氏のマジックとしては、コインマジック、カードマジック、ロープマジックその他、既存の奇術カテゴリーに入る一般的な素材を用いた作品ももちろん多いです。
しかしそれにも増して沢氏の作風を特徴づけるのは、貝殻や葉っぱ、水晶などの自然素材を用いた作品群です。
真珠物語や、このてんとう虫などはその作風の代表的なものですね。

 

沢浩氏の奇術創作手法のひとつとして、”素材を生かす”というものがあります。
単にコインやボールで行われるマジックを、貝殻でやってみるといったものではありません。
その素材ならではの、モノ自体のイメージから紡ぎ出されるストーリーからマジックを展開するという考え方。
「てんとう虫」も、そういった創作方法によって生み出された傑作の好例でしょう。
リチャード・カウフマン著”Sawa’s Library of Magic vol.1″に掲載されました。

 

沢浩氏の「てんとう虫」の現象

わたしはこの作品がとても好きで、20年近く前には何度も演じていたのですが、最近はやっていませんでした。
しかし道具箱を整理していると、昔使っていたこのマジック用の自作道具が出てきたので、今回動画を作成してみました。
よろしければご覧ください。

 

一応お断りしておきますと、ラストのお母さんてんとう虫の出現あたりのハンドリングは、わたしの好みに合わせてSawa’s Library掲載の手順とは少し変えてあります。

 

このマジック、非マジシャン相手に何度も実演したことがありますが、子供はもちろん大人にもかなり受けます。
とくに大人の観客は、ラストの大きいてんとう虫の出現で驚きますね。

 

用いられている手法自体は、昔からあるマジックの応用です。
お札やコインが出現するものや、テンヨーのミッキーマウスの手品などが、この分野ではとくに有名な作品です。

 

しかしこの「てんとう虫」では、そういったオリジナルの手品を、単にてんとう虫が出現する形に置き換えただけのものではないです。
葉っぱとてんとう虫だからこその、詩情あふれるストーリーと、おどろきのラスト。
このラストのアイデアは、ディレイド・クライマックス”Delayed Climax”の好例であるとも見なせます。
しかし、これとてクライマックスだけのためにあるものではなく、手順の前半部の手法にまでうまく組み入れられてるんですよね~
まあこのへんは仕組みの話になるので、これ以上は申しませんが。

 

この作品については、魔法都市案内のマジェイアさんが記事を書かれています。
よろしければ併せてご覧ください。

 

なお、最近手品の動画を多くYoutubeにアップしている私ですが、この作品を動画にするのには多少の迷いがありました。
理由は二つあります。
そのひとつは、やはり生の実演と動画では、その体験の質に天地の開きがあるということ。
もうひとつは、この作品はそれなりの経験あるマジシャンが見れば、種が一目瞭然ではないかということです。
両方とも、この作品だけではなくマジック動画全般に言える問題点ではありますが、このマジックではとくにそれが当てはまるのではないかとの思いもありました。

 

まあそれでも最終的に動画にはしたわけですが、とくにこの「てんとう虫」に関してはマジェイアさんも書かれているように、演じる人がほとんどなく、普通に生活していてリアルの場でこのマジックの実演に遭遇する機会は、ほとんどの人にとってはゼロに等しいだろうと考えたからです。
もちろん私の動画が、この奇術の魅力を100%伝えられるなどとは思っていませんが、何らかの形でこの作品の演技を見てみたいと思っている人には、多少なりとも喜んでいただけるかなと思いました。

 

「てんとう虫」の文献・関連商品等

沢浩氏の「てんとう虫」が最初に文献として解説されたのは、アメリカの奇術雑誌Geniiの1977年1月号です。
その後、リチャード・カウフマン著”Sawa’s Library of Magic vol.1″にも解説されました。
この本の扉の沢浩氏のポートレイト写真でも、沢氏がてんとう虫の道具を手に持ったものが使用されています。(沢浩氏の記事参照)

 

オリジナルそのままの用具としては市販されていませんので、これを演じたい場合は上記英語文献を読んで自作するしかないかと思います。
ただしこの作品を簡略化したと思われるバージョンが、テンヨーから発売されているマジック詰め合わせセットの「マジックワールド」に含まれています。
ここでは、使用するのは枝ではなく葉っぱ2枚で、てんとう虫の出現・移動を見せるものです。
実演は原案よりかなり容易になっていると思います。

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コメント

    • いちしげ
    • 2012年 12月 15日

    沢さんらしい本当に素敵なマジックだと思います。
    実際にshanlaさんの実演を見てみたいです。

      • Shanla Type2
      • 2012年 12月 15日

      >いちしげさん
      私でよろしければ、機会があれば喜んで!
      わたしも沢さんご自身の実演を見てみたいものです。

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  • 極限まで極められた"The trick that cannot explained"とか、あるいは某マジックバーがやってるみたいな、ガチでマグレに賭けるマジックとかだったら難しいかもね。
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  • 見破ればタダ、神戸にマジックレストラン | Lmaga.jp https://t.co/3T0Rju5G5b →これ、マジックマニア等知識のある人が「見破って」も対応してくれるのかな。もしダメだというなら、どこまでがNGなのか線引… https://t.co/bc3m88Gjlj
    about 1週間 ago
  • 確かに今は(少なくともここ1年、恐らくこれからの1年も)運用の割が良い時期だろう。私も去年の8月くらいから始めたけど、年間で15%超えてる。 https://t.co/cWozcmu9RY
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