「1ドルは1ドル」 沢浩 “One Dollar is One Dollar” 澤浩氏による、両替をテーマとしたコイン変化奇術

今日は”One Dollar is One Dollar”訳して「1ドルは1ドル」、沢浩氏のコインマジック作品の中で、わたしが一番好きな作品を紹介いたします。

 

沢浩氏といえば奇術創作のオリジナリティにおいて、世界でも類まれなクリエイターと見なされています。
とくにその独創性はカードやコインといった、従来からある普通の奇術素材とは異なる、自然物や抽象物といった分野において発揮されており、ご本人もそれらの分野がライフワークであると述べられています。

 

しかし特に沢氏の創造力が発揮された作品においては、氏自身の個性と分かちがたく結びついた感のあるものも多く、余人をもって代えがたいというべき創作物も多いですね。

 

私のような凡百の一人に過ぎないマジシャンが氏の作品に手をつけるとするならば、畢竟、そういった手に余る分野ではなく、普段から慣れ親しんだカードやコインから入ってみたい、という気にもなろうというものです。

 

もちろんカードやコインの分野においても真似のし難い作品も多いのですが、今回ご紹介の”One Dollar is a Dollar”は比較的、一般的なコインマジックの延長線上にあるようなテーマと思えます。

 

“One Dollar is One Dollar”の現象

動画をアップしてありますので、よろしければご覧ください。

 

[ktaicontent]>>動画リンク<<[/ktaicontent]

 

現象をまとめると、1ドル(ワンダラー)銀貨がハーフダラー(50セント)銀貨2枚に分裂、そしてまた融合して1ドル銀貨に、このサイクルを何度か繰り返すというものです。

 

現象としてはワンダラーからハーフダラーへの大きさの変化、そして1枚から2枚への枚数の増加、この2種類の変化が一度に起こっているということになります。
しかしこれが単なる変化ではなく、「両替」というストーリーで貫かれているのが非常に面白い部分です。

 

沢氏による同じテーマのコインマジックに、代表作のひとつワン・ツー・フォー、そしてその発展形である1-2-4-10があります。
ある意味、「1ドルは1ドル」は「ワン・ツー・フォー」の簡易版と見なすことも出来るでしょう。

 

簡易版であるだけに、逆に手順としての発展の余地は広がっていると思います。
ワン・ツー・フォーでは分裂したコインをまた元に戻すということは、そう簡単なハンドリングや手法で解決は出来ないでしょう。
しかし「1ドルは1ドル」であれば色々な手法を組み合わせつつ、何度も繰り返して見せることが出来ます。
いわばスペルバウンドのような形で、カードマジックで言えばアンビシャスカードのような即興演技の可能性があるプロットなのですね。

 

沢氏自身、2回ほど分裂と融合現象を演じられることもあれば、1回の分裂と融合だけで終えられる場合もあるようです。
私が直接見せていただいたときは、2回の現象を見せていただきました。
“Sawa’s Library of Magic vol.1″では、分裂と融合を含む一連の手法が2種解説されていますが、もちろんこれらの手法を適宜組み合わせて演じることも可能です。

 

またこのプロットは他のコインマンによっても研究されており、デビッド・ロスが独自のハンドリングを発表しています。
また日本の有名なコインマンである六人部慶彦氏もこの現象を演じられているようです。

 

動画で演じた手順について

今回動画でお見せしました手順は、沢氏の手順のままではありません。
前述のデビッド・ロスの手法と、一部私自身のハンドリングも混ぜて構成したものです。
以下に具体的に述べます。
※種明かしではありませんが、技法名等にも言及しますので、この部分のみメンバー限定記事とさせていただきます。

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まず、1枚のワンダラーが最初に分裂するまでの手法は、沢氏の手順の通りです。
“Sawa’s Library”解説の手順1の冒頭に用いられている手法です。
ビジュアルな分裂部分に用いられている技法はダイ・バーノン考案の技法で、キャッスル・チェンジと呼ばれています。
これは沢氏自身お気に入りの技法であるようで、沢氏の他の作品にも使用されています。

 

その後中盤部分での1回の分裂と融合は、私が組み立てたものです。
沢氏の手順通りの方法を昔から演じていたのですが、どうもこの部分のハンドリングが自分に合わないのではないかと最近思うようになり、思い切って組み立てなおしてみました。

 

今回の手法では、カールパームやエッジグリップを用いて、出来るだけ自然な指の形でクリーンに見えるようなハンドリングを目指そうとしてみました。

上に書きましたように、スペルバウンドに近い魅力のあるプロットなので、このへんの連続変化を見せるハンドリングを考えるのは楽しいですね。

 

最終的に融合してワンダラーになって終わり、という部分の手法は、石田天海師による名作テンカイ・ペニーズの技法を用いたもので、基本的には沢氏オリジナルのアイデアの通りです。
ただ天海ペニームーブに使われる技法が、デビッド・ロスによって現代風にアレンジされたもので、オリジナルに比べると角度に強くなっています。(ある面では弱くなっているとも言えますが)

 

この最後の部分には、私自身は多人数相手に演じる場合には従来はギャロー・ピッチ等を用いていました。
しかしどうも手順全体の動きにマッチしないような気も致しまして、最近はデビッド・ロスの手法を用いて演じています。

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“One Dollar is One Dollar”を解説した書籍等

この記事の題名として便宜的に「1ドルは1ドル」と日本語題を付けてみましたが、これまで私の知る限りではこれが日本語で解説されたものを見たことがありません。

 

文献としては、当サイトではたびたび言及している本ですが、リチャード・カウフマン著”Sawa’s Library of Magic vol. 1″に2パターンの手順が解説されています。
ただこの本では題名は微妙に異なり、”A Dollar is Always a Dollar”となっています。
まあ意味合いは一緒ですね。

 

映像では、L&L Publishingから出された”The New Coin Magic of Dr. Sawa”という6巻組DVDの5巻に、”One Dollar is One Dollar”と題して解説されています。

 

バリエーションとして言及しましたデビッド・ロスのやり方については、リチャード・カウフマン著”Expert Coin Magic”に解説されている”Deep Palm Tenkai Merge”という作品がそれに当たります。

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