東京湾の「水と油」 加藤英夫 ラリー・ジェニングスを引っ掛けた、加藤氏によるオイル・アンド・ウォーター手順

toukyouwan

今回は、初めて読者の方からいただいたリクエストを元に紹介記事を書きます。
HN「ふぁん」様からいただいたリクエストは、加藤英夫氏の東京湾の「水と油」です。

 

水と油、または油と水という奇術、英語では”Oil and Water”と呼び、日本語でもカタカナ表記でオイル・アンド・ウォーターと呼ばれることのほうが多いです。
このテーマはカードマジックの中でもメジャーなもので、以前紹介したオイル・アンド・クイーンなどもこれのバリエーションのひとつです。

 

マジックのプロットとしては、水と油に見立てた2種類のカードを、交互に混ぜたにもかかわらずいつの間にか分離してしまう、という現象です。
逆に、分かれていたものが混ざってしまうという、アンチ・オイル・アンド・ウォーター現象と組み合わせて演じられる例も多く見られます。

 

このマジックは奇術家にとっては魅力的なテーマであるようで、元祖エドワード・マーロー以来、数多くのマジシャンが取り組んできました。ちょっと思い出しただけでも、ダイ・バーノン、デレック・ディングル、ラリー・ジェニングス、アスカニオ、タマリッツらの傑作手順が思い浮かびます。もちろん、上のロイ・ウォルトンの作品もそのひとつですね。

 

さて、今回ご紹介の加藤英夫氏による「東京湾の「水と油」」は、数あるオイル・アンド・ウォーターのバリエーションとしては少し異色な感じです。
一般的なオイル・アンド・ウォーター手順ではフェイスの赤と黒のカードを水と油に見立てて演じますが、加藤氏のこの手順では表と裏を使用して演じられます。
「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」掲載作品です。

 

東京湾の「水と油」

動画を作成してみましたので、よろしければご覧ください。

 

>>動画リンク<<

 

「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」の記事によれば、ラリー・ジェニングス氏は97種類のオイル・アンド・ウォーター手順を習得していたにもかかわらず、加藤氏にこの手順を見せられたところ、完全に引っかかってビックリしていたとのことです。

 

表と裏を用いるという分かりやすさもさることながら、単純に分離して、また混ざって終了というシンプルさも魅力のひとつですね。通常のオイル・アンド・ウォーターをけなすわけではありませんが、2段、3段と現象を繰り返してゆく手順は、一般客には飽きられる恐れがないでもありません。その点この手順は分かりやすい印象があります。
プロット構成としては、オイル・アンド・ウォーター現象が1回、アンチ・オイル・アンド・ウォーター現象が1回という形ですね。

 

それと、ラリー・ジェニングスが引っかかったというエピソードでも示されるとおり、用いられている手法も巧妙なものです。
例えばここで○○ムーブを用いる、などと既存の奇術用語で表現することが出来ないような、加藤氏独特の方法とも思えます。
昔あるベテランの奇術家の方から、「マジシャンを引っ掛けるような手順を作るには技法自体を自分で考えないとダメだ。」と言われたことがあります。
加藤氏のこの手順も、そのような好例でしょうか。

 

もちろん、マジシャンを引っ掛けるマジックが良いマジックだと限ったわけでもありませんが、ひとつの思考方向としては有用でしょう。
既存技法の配列をあれこれ考えるだけでなく、この動きに合わせてどんな秘密操作が出来るか、どんな現象が起こせるか、と発想を柔軟にして考えることが、クリエイターならば求められそうです。

 

なお、上の動画では余計なセリフ(キャプション)は省いて、現象のみを淡々と見せてゆく形にしていますが、「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」には魅力的な演出ストーリーが紹介されています。
東京湾の魚が不味いのは、油が混じっているからなのでしょう、というセリフから始まるストーリーはとても面白く、この手順にぴったりハマっています。
もちろん、手順の題名もこの演出から採られたものであろうことは言うまでもありません。
本の解説では、不思議さを強調する場合はほとんどセリフなしで演じても良いが、楽しさを重要視する場合にはこのセリフをしゃべることをおすすめしています。
わたしも、実際に生で演じるときにはこのストーリーで演じてみたいですね。

 

東京湾の「水と油」を解説した文献等

この作品は加藤英夫氏によるカードマジック入門書「ラリー・ジェニングスのカードマジック入門」に掲載されています。

この本は初心者向けに順番に基本技法を解説し、それを使うマジックを併せて解説という形を取っていますが、本作品はそれとは別に巻末の「カードマジック傑作選」のひとつとして紹介されています。

この「カードマジック傑作選」の章では、本の改訂とともに大幅に作品が追加されています。私は旧版は未所持なので確認は出来ていませんが、「東京湾の水と油」は旧版には含まれておらず、新版で新たに加えられた作品かと思います。

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コメント

    • ふぁん
    • 2013年 3月 16日

    さっそくのリクエストを聞いていただきありがとうございます★
    初めてどんなマジックなのか動画で理解できました。
    やっぱり上手いですね☆
    僕はまだまだなのでこれからしっかり練習します★
    この度は本当にありがとうございました。

      • Shanla Type2
      • 2013年 3月 16日

      コメントありがとうございます。
      こちらこそ、お役に立てたのならば光栄です。

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  • @you_you_1 @ShinanoCraft Too Perfect Theoryですかね。これは若干違うようなw
    about 4週間 ago
  • @ShinanoCraft @you_you_1 わたしもその台無しで出来る?って言いたいですw
    about 4週間 ago
  • https://t.co/RKdQJ1Uskq 見てみました。これは確かに全然分からん。最初のほうはまだしも、触れずに一瞬にしてリバースとか、通常の手法では解決法が思いつかないですね。
    about 4週間 ago

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