“Call to the Colors” Bill Simon ギャンブリング・テクニックをマジックに応用した傑作

calltothecolors

カードマジックの技法にはギャンブラーのイカサマテクニック由来のものが数多くあります。

 

例えばダイ・バーノンによって近代カードマジックのバイブルとなった名著「Expert at the Card Table」(邦題:プロがあかすカードマジックテクニック)はギャンブラーがその手口を解説したという意味で画期的な本でした。

 

この本に紹介された技法の中でも、パス(シフト)、パーム、フォールスシャッフル、カルシャッフル、そしてフォールスディールといった技法群が、ギャンブリングテクニックとして紹介されています。

 

パス、パーム、シャッフルといった技法はあまり工夫するまでもなくカードマジックにそのまま取り入れることが出来ます。
カードを揃える動作や、混ぜる操作といったものは、どんなカードマジックにおいてもごく普通に見られるものだからですね。

 

ただしセカンドディールやボトムディールのようなフォールス・ディールの類は上記に比べると、カードマジックへの応用度はぐっと下がる印象があります。

 

やはり配る動作とともに行う技法ですから、どんなカードマジックにでも取り入れるというわけにもいかないという面があります。
もちろん、ポーカー・デモンストレーションのような、そのまんまギャンブルのイカサマ実演をテーマとした演目は別ですが。

 

ビル・サイモンの”Call to the Colors”

さて、フォールスディールの中でもセカンドディールは私のとくに好きな技法ですが、これをギャンブルのデモンストレーション以外のテーマで上手く利用した手順は、あまり数多くはないと思います。
私の知るところでは、チャーリー・ミラーのDanbury Delusion、アレックス・エルムズレイのDiamond Cut Diamondあたりが主なところでしょうか。

 

日本人のマニアであれば、宮中桂煥氏のNon-Predictionを思い浮かべる方もいるかも知れません。

 

そして私の中では、ビル・サイモンのCall to the Colorsも上2つに並んで3大作品の列に加えたいところです。
現象が独特なのですが、技法の使い方はむしろ上2つ(または3つ)のどれよりも巧妙な感じがいたします。

 

前おきが長くなりましたが、動画をアップしてありますのでよろしければご覧ください。

 

>>動画リンク<<

 

この動画では指を鳴らした数に応じて出てくる枚数が変化するという趣向で、いわばマジック寄りの魔法を見せるようなタッチを意識しています。
しかしこの手順は技巧のデモンストレーションとして、フォールスディールを用いるとはっきり宣言して演じる人もおり、そのへんは個人のキャラクターにもよるでしょう。

 

動画の中で2回目のところで「指を2回鳴らすと」と言いつつ(キャプションに書きつつ)、実際の演技では1回しか指を鳴らしていない箇所がありますが、これは演技のほうのミスです。ご容赦ください^^;

 

これはなかなか独特で、分類のしがたい作品です。
フォールスディールのデモンストレーションという形式ならば、ギャンブルのトリックのカテゴリーに入るとも言えそうですが、現象自体はギャンブルとは関係ないですね。

 

「Effective Card magic」の解説によれば、この作品はジョン・スカーニのScane Card Puzzleという作品のアイデアをベースとしたものだとのことです。
スカーニはスターズ・オブ・マジックなどで有名なマジシャンで、フォールスディールやフォールスシャッフルなどのギャンブルテクニックの専門家としても有名な人でした。

 

カードの赤と黒の色をコントロール下に置くという現象なので、もしかしたら演じ方によってはオイル&ウォーター系統との親和性が高そうな気もします。
ラストの段階でデック全部が赤と黒に分かれるという図も、オイル&ウォーターのラストに向いてそうですね。
そういう演じ方をする場合は、オイル&ウォーターのほうを「油と水」という演出をするのはやめておいたほうがよいかもしれません。

 

Call to the Colorsのバリエーション

半世紀以上前に発表された手順ですので、いくつかのバリエーション作品が発表されています。
その中で私が知るものをいくつか紹介してみます。

 

まずひとつ、私がこのマジックを知るきっかけになった作品ですが、アメリカのプロ・カーディシャンであるマーチン・A・ナッシュによる”Colors on the March”があります。
氏はセカンドディールの非常な達人であり、来日時にその妙技を存分に堪能させていただいたのを思い出します。(当時すでに還暦でした!)
ただし、レクチャーの場では時間が限られていることもあり、惜しくも”Colors on the March”の実演をその場では見ることは出来ませんでした。

 

しかし固定の組み合わせでいくつか構成されている氏のプロフェッショナル・ルーティンの中では、この作品はトリを飾るものとなっています。それだけの効果のある作品ということなのでしょう。
まず、ナッシュ氏のプレゼンテーションは全て、魔法の不思議を見せるのではなく、氏自身のカードエキスパートとしての実力を堪能してもらうというものでした。
一組のカードを完全にコントロール下に置くことの出来る能力を披露する素材として、このプロットは確かに最適であるようにも思えます。

 

原案はセカンドディールだけで演じることが出来ますが、”Colors on the March”では場合によってそれ以上のテクニックを要求される場面があります。
具体的には、原案では3枚組でのディールまでですが、ナッシュの手順では4枚組まで配って見せます。
手順全体の骨格は原案どおりです。

 

 

もうひとつのバリエーションとしてはイギリスのガイ・ホリングワースの手順が発表されています。
氏はTorn and Restored Cardのひとつの究極形であるRe-formationで世界的に有名となりましたが、それ以外でもカードマジックの古典から現代まで広く精通したマジシャンです。

 

ホリングワースの手順では、まずバラバラなカードの位置関係を記憶したうえで、フォールスディールも併用して演じてみせる、と宣言します。
つまりナッシュと同じように魔法ではなく技巧を魅せるという趣向の演出ですね。

 

また、この手順はナッシュの”Colors on the March”よりさらに複雑に豪華に押し進めた手順となっている印象です。
最初は原案と同じように赤と黒を枚数ごとに配ってみせるところから入りますが、その後さらにスートごとに同じことを演じて見せます。
さらに最後には各スートばらばらのカードが、A~Kまでオーダーに揃ってしまいます。

 

ちょっと文章で読んだ限りでは、かなり複雑かつ長大な手順で、原案を知っている専門家向けの演技という印象もないではありません。
が、ホリングワース氏の技巧にかかれば一般客でも魅せられる手順となるのかも知れません。

 

Call to the Colorsの解説文献等

この作品はビル・サイモン氏による名著「Effective Card Magic」に解説されました。
この本は元々は1952年に発行されたもので、カードマジックの古典と呼んでも差し支えない本です。
高木重朗氏も著書においてこの本を洋書の名著として推薦されており、とくにセカンドディールの解説がすぐれていると注記されています。

 

原典は古い本ですが、近年Dover社のペーパーバックより、「Card Magic for Amateurs and Professionals」と改題して再版されていますので、現在でも安価で求めることが可能です。

 

バリエーションとして紹介しましたMartin A. Nashの”Colors on the March”は、氏の3部作作品集の第2巻「Any Second Now」に収録されています。
また本人の演技・解説を見られる映像資料としては、「Very Best of Martin Nash」というDVDの2巻があります。

 

もうひとつバリエーションとして紹介したGuy HollingworthのCall to the Colorsは、彼の作品集「Drawing Room Deception」に収録されています。

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  • 沖縄で結構な地震が!めずらしい…
    about 2日 ago
  • 「電話はかけてこないで」はあちゅうが考える新マナー Yahoo!ニュース https://t.co/CcOALnkhVh #Yahooニュース →電話のくだりは全く同感である。「確実に連絡が取れるように」と言って電話番号を求められることがあるが、私にとってはメールのほうが確実だ。
    about 3日 ago
  • これだけテレビやモニター技術が発達しているが、ベゼル幅ゼロとか折りたたみ可能ディスプレイというのは、まだまだ実現できないものなのかな。
    about 3日 ago

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