ハリー・ロレインによる低難易度のポーカー・デモンストレーション “Lorayne’s Poker Deal”

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ポーカー・デモンストレーションは、個人的にはカードマジックではないと思っています。
ポーカー・デモンストレーションを初めとする各種のギャンブリング・デモンストレーションは、一般的にはカードマジックの一種として扱われ、カードマジック本に収められていることも多いものです。

しかしこの種の手順の、そのパフォーマンスとしての根幹の部分は、不思議さというよりは、演者の技巧の錬度を見せるところにあります。ある種のジャグリングと同じでしょう。

とは言うものの、純粋なポーカー・デモンストレーションは不思議さを本質としないパフォーマンスではありますが、そこに手品的な要素を多く織り交ぜた作品もあります。
以前当サイトで紹介したこのカテゴリの作品の中では、デレック・ディングルの“Master Poker Demonstration”あたりが、手品的な装いの強いポーカー・デモンストレーションと言えるでしょう。

今回ご紹介の、ハリー・ロレインによる”Lorayne’s Poker Deal”は、全体としては普通のポーカー・デモンストレーションと似た感じの手順ですが、非常に単純化されています。
そして、単純な中にもラストには意表を突くクライマックスが仕組まれており、この構成はマジック的なものですね。

技術的な難易度が低いという意味でも、取り組みやすいカードマジック作品のひとつです。

 

ハリー・ロレインの”Lorayne’s Poker Deal”

では、動画をアップしてありますので、よろしければご覧ください。

>>動画リンク<<

ボトムディールの最も典型的な使い方を解説する、という体裁の手順で、ポーカー・デモンストレーションとしてはシンプルなパターンです。
また、ラストの落ちまで含めた手順全体としてのポイントは、技巧の誇示ではないので、ここでのボトムディールは全く下手くそでも問題ありません。
個人的には、多少は通用するレベルで、ボトムディールも何度か演じてみせるのが良いかなとは思いますが。

いずれにせよ、ここでのボトムディールはいわば技法ではありませんから、フォールスカット等を別にすれば、セルフワーキング・トリックと呼んでも差し支えない作品です。

一般的に日本人はポーカーに慣れ親しんでいませんから、フルハウスとかフラッシュとかが出てきても、どっちが強いのか分からない人も多いはずです。
その点、”Lorayne’s Poker Deal”でメインで出てくる役はエースの4カードと、スペードのロイヤル・ストレート・フラッシュだけです。この程度が、一般の日本人相手のポーカー・デモンストレーションで、とくに説明無く認知してもらえる役の限界ではないでしょうか。

 

この作品を私が最初に覚えたのは、京都に居た頃です。
その頃所属していた社会人向けのマジックサークルの場で教わりました。

そこではハリー・ロレインの作品だと教わり、後年になって”Lorayne’s Poker Deal”の原典にも当たる機会があったわけですが、どうやらこの作品自体は、別の奇術家の作品にプレゼンテーションを付け加えたもののようです。

Denis Behr氏のサイトによれば、マーチン・ガードナーとエド・マーローによる”Gardner-Marlo Poker Routine”がベースとなっており、それにプレゼンテーションを付け加えたものが”Lorayne’s Poker Deal”である、とのことでした。
そちらの作品は1942年発行のエド・マーロー著「Let’s See the Deck」に掲載されているようですが、私は未見です。
5つの手札をディールして、それを積み重ねることによってラストのためのスタックを作る、という基本アイデア自体は、マーチン・ガードナーとエド・マーローによるものということかも知れません。

 

ハリー・ロレインの”Lorayne’s Poker Deal”を解説した文献等

この作品は、1962年発行のハリー・ロレイン著「Close-Up Card Magic」に収録されています。少し前に当サイトで紹介したエイペックス・エーセスの原典が掲載されているのと同じ本です。

closeupcardmagic

余談ですが、私の持っている「Close-Up Card Magic」は、故片倉雄一氏の遺品を、縁あってお譲りいただいたものです。
そのときにはこの本にはあまり注目していませんでしたが、最近になって、大変重要な情報が多数収録された名著であったのだと気づいた次第です。

“Lorayne’s Poker Deal”を収録した日本語文献については、私は知りませんが、恐らく存在するのではないかと思っています。
といいますのも、私の知っている範囲でも古くからマジックをやっている奇術家の方から、何度か見せてもらったことがあるからです。その方々の全員が全員、洋書を読まれていたとも思えませんので。
この作品の日本語文献についての情報をお持ちの方がおられましたら、ご教唆いただければ幸いです。

映像では、ハリー・ロレインのDVD「Lorayne’s Best Ever Collection」シリーズ1巻に収録されています。

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コメント

    • 峯崎浩一
    • 2013年 10月 07日

    私も興味あって日本語文献を調べてみましたが分からないですね・・
    ただプリあらのサイトにロレインが来日してレクチャーしたとありますから
    その時に日本語訳のノートがあったかどうか?ですかね・・?

    • なるほど。レクチャーにも来られているのですね。
      かなり昔の話でしょうか。
      検索しても情報はちょっと見つからない感じですね~。

        • 匿名
        • 2013年 10月 09日

        あとは LILLIPUTさんの古書データベースから
        探してみるとか・・ 大変ですけど。^_^;
        http://lilliput-magic.com/kosho.html

        • ざっと検索をかけてみましたが、ロレインの名前は見当たりませんでしたね。
          でも別の方のコメントで、松田道弘さんの本に載っていたことが分かりました。
          そちらのLILLIPUTさんのデータベースでは、ちくま文庫の本以外にも松田さんの著書でポーカー・デモンストレーションが載っているものがあるようなので、そのあたりもありそうな気はしますね。

    • オニオン
    • 2013年 10月 09日

    私が最初にこのマジックを知ったのは松田 道弘さんの筑摩書房から出ていた「トランプ・マジック」です。
    マジックをやり始めた20年ほど前、東京のトリックスで「お勧めのカードマジックの本はありますか?」と聞いたところこの本を薦められました。
    今回のマジックは、その本の中に「ポーカー・デモンストレーション」として紹介されています。
    文庫本で価格も470円でしたが、キーカードを使ったカード当てからサイ・ステビンス・システムを使ったカードリーディングまで今見てもとても贅沢な内容です。
    マジック初心者の頃にこのような本に出会えたことはラッキーでした。

    • オニオンさん初めまして、コメントありがとうございます。
      なるほど、あの本に掲載されていましたか。あの本は私もかなり昔に読み、すぐれた内容に心ときめいたのを記憶しております。

      早速書架から取り出して確認してみましたところ、確かに載っていました。
      しかしハリー・ロレインの名前は記載されていませんでしたね。
      確か私が教えてもらったときは、ロレインの名前を聞いたような記憶がありますが。

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  • 極限まで極められた"The trick that cannot explained"とか、あるいは某マジックバーがやってるみたいな、ガチでマグレに賭けるマジックとかだったら難しいかもね。
    about 1週間 ago
  • 見破ればタダ、神戸にマジックレストラン | Lmaga.jp https://t.co/3T0Rju5G5b →これ、マジックマニア等知識のある人が「見破って」も対応してくれるのかな。もしダメだというなら、どこまでがNGなのか線引… https://t.co/bc3m88Gjlj
    about 1週間 ago
  • 確かに今は(少なくともここ1年、恐らくこれからの1年も)運用の割が良い時期だろう。私も去年の8月くらいから始めたけど、年間で15%超えてる。 https://t.co/cWozcmu9RY
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