澤浩氏の「ワン・ツー・フォー」 “One To Four” Dr.Hiroshi Sawa 2段階のコイン両替奇術

onetwofour

奇術の現象には、消失・出現・変化など、ほとんどあらゆる素材で共通に演じられる現象があります。しかし、それとは逆に特定の素材ならではの性質を生かしたマジックもあります。

例えばトランプは物理的には文字通りカードサイズの厚紙の束ですが、それと同時に4種類のマークとA~13の数字が記されたシンボルでもあります。ここから様々な数理的マジックや当て物のマジックなどが成立しますね。

それと同様に、コインは物体としては、金属で出来た小さな円盤ですが、それと同時に通貨の一種でもあります。当然のことですが。
ここから、お金という形で経済や日常生活に関連したマジックが可能となりますし、またさらに金額を数字として単純化して捉えて、数理的なマジックに繋げることも出来ます。

この”通貨の一種である”という性質は、トランプとか、あるいはコインと似たようなサイズである碁石とかボールなどといった物体にも無い、コインならではの特質と言えましょう。

沢浩氏のコインマジック代表作のひとつである「ワン・ツー・フォー」は、即物的な目で見ればコインの変化・増加現象に分類できます。
しかしスペルバウンドのような単純な変化ではなく、コインの両替という等価交換をテーマにしているところが面白いです。
物体としてのコインと、貨幣としてのコインの両方にスポットを当てた、稀有な現象です。

 

澤浩氏の「ワン・ツー・フォー」

では、動画をアップしてありますので、よろしければご覧ください。

>>動画リンク<<

沢氏のコインマジックで有名な、両替をテーマとした作品として、当サイトでは以前「One Dollar is One Dollar」という作品を紹介しました。
今回のワン・ツー・フォーは、それをさらに1歩進めた3段階変化のプロットとも見なせます。実際に、今回紹介のワン・ツー・フォーに対して、One Dollar is One Dollarのほうは「ワン・ツー」と呼ばれることもあるようです。
なお、プロットの進化という点では、ワン・ツー・フォーをさらに1歩進めた、ワン・ツー・フォー・テンという4段階変化の手順も発表されています。これについては、書籍紹介記事「澤浩の奇術」をご覧ください。

ワン・ツーのほうは言わばスペルバウンドのように、1ドルとハーフダラー2枚の変化を何度も繰り返すような形でした。それに対してワン・ツー・フォーでは扱うコインの枚数の関係もあり、一方通行の現象となっているということについては、以前の記事でも書いた通りです。

このマジックは沢氏の初期代表作のひとつでもあります。
ダイ・バーノンやチャーリー・ミラーの来日時に、真珠物語などとともにこのワン・ツー・フォーも見せたところ、彼ら巨匠マジシャンが涙を流さんばかりに感激していた、というエピソードが、石田天海賞記念「沢浩作品集」にありました。

極めて豪華でかつユーモラスでもあるこのプロットは、その後、数多くのコインマジシャンの心を捕らえています。
ちょっと思い出しただけでも、ポール・ガートナー、ソル・ストーン、マイケル・ギャローといった人々による改案があります。また、沢浩氏自身も、オリジナルバージョン以外にいくつかのハンドリングを考案・発表されています。

しかし、40年も前に発表されたこの原案のハンドリングは、今なお輝きを失いません。
冒頭で両手のひらを見せて、ワンダラー以外無い状態から始まる。そして、手順の最初から最後までロードも処理も行わない。
これは、原案以降に発表されたどのバリエーションにも見られない、優れた点だと思います。

 

澤浩氏の「ワン・ツー・フォー」を解説した文献等

この作品は、石田天海賞配本「石田天海賞受賞記念 沢浩作品集 」(1974)に収録されました。
この本は限定出版で、一般の書店では買えませんが、今でもときおりテンヨー系マジックショップや、ヤフオクなどでは見かけます。

その後洋書で、リチャード・カウフマン著「Sawa’s Library of Magic」(1988)にも収録されました。
この本には、今回の記事で紹介したオリジナルメソッド以外に、もうひとつ別ハンドリングが解説されています。

沢氏本人による公開された映像は、原案手順のものは、私の知る限りではありません。
原案以外の映像としては、Stevens Magic EmporiumによるDVD「Greater Magic Video Library vol.43 Dr. Hiroshi Sawa」に収録されているVending Machine Coinsという手順は、ワン・ツー・フォーのバリエーションのひとつです。これは原案手順とも、また「Sawa’s Library of Magic」収録の別バージョンとも異なった、第3のハンドリングです。

その他私の知る限りで、ワン・ツー・フォーのプロットのバリエーション作品とその掲載文献を紹介しておきます。

Paul Gertner “Dollar to Halves to Quarters”
「Steel and Silver」(1994, Richard Kaufman著)所収

Sol Stone “Pulling Silver”
「COINMAGIC」(1994, Richard Kaufman著)所収

Mike Gallo “Break Four”
「Richard’s Almanac June 1984」及び「Collected Almanac」(1992, Richard Kaufman著)所収

 

よろしければ、この記事に対しての評価をお願いします。 
最低イマイチ普通良い最高 (4 投票, 平均値/最大値: 5.00 / 5)
Loading...
※5段階の簡単評価です。★を選択することで誰でも簡単に評価できますので、お気軽に「ポチ!」をお願いします。
スポンサーリンク

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサーリンク

Books

Twitter

  • @t_aldehyde 紙の書籍やレポートのどこかにある文言を探すのに、つい「Ctl+F」で検索して~と考えてしまう現象に名称はあるでしょうか。できたらいいな、ではなく、たまに素で一瞬そう思ってることが。
    about 1週 ago
  • "生活が破綻する"8h労働を疑問視 #BLOGOS https://t.co/9bYclKCjey 2時間はさすがにあっという間すぎるけど、4~5時間くらいが集中もできて丁度いいのでは、とは前から思っている。それなら休憩も無くていい。
    about 3週 ago
  • 意味わかんない!「社会人としてありえない」有休取得の理由7つ!|「マイナビウーマン」 https://t.co/BaNIq8ba8w  これは、このような理由で有休を取ることがあり得ないのではなく、正直に会社に伝えるのがありえないと理解すべきかな。
    about 4週 ago

メルマガ登録

当サイトでは、記事の更新情報を週に一度、無料でメール配信しております。ご希望の方は以下からご登録ください。


 

ページ上部へ戻る

 

 

ラペルズギルド 自炊と食べ歩き