ここではカードマジックにおけるタ行の用語を紹介します。
人名・奇術の作品名や書名などは扱わないものとしますが、ジャンル名となっているような古典的な奇術名については扱うものとします。
基本とは言えない技法についても、もれなく扱うと膨大な数となるので、著者の主観にてある程度重要と思われる技法に絞って紹介します。
また、カードマジックだけでなく奇術全般に当てはまる専門用語は、カードマジックの項目に含めて記載します。
タで始まる言葉
ダイアゴナル・レフトハンド・パーム
カードをデックに差し込んで揃える動作の中で、左手(デックを持つ手)にパームする技法。必ずしもパームされるとは限らず、トップやボトムへのコントロールにも使われる。ダイアゴナル・パーム・シフトとも呼ばれる。
タイム・ミスディレクション
ミスディレクションの一種で、秘密操作を行ったときから、実際にその操作による結果が現れるまでの間に一定の時間をおくことにより、両者が結び付けて考えられるおそれが軽減される。
ダイヤ
4種類のスート(マーク)のうちのひとつ。通常は赤い色で印刷されている。英語ではダイアモンド”Diamond”と呼ぶ。
ダウンズ・チェンジ
コインの王様、ネルソン・ダウンズによるカード技法。デックを裏返しながらボトムカードを取る動作の中でチェンジする。
ダック・チェンジ
ヒロ・サカイ師の技法。1枚のカードを数cm手前からデックのトップに弾き飛ばすと、フェイスが変化する。
ダブル・カット
ダブル・アンダー・カットとも言う。カットによるコントロール技法だが、カットを2回に分けることによって、混ぜた印象を与えるように意図されている。
ダイ・バーノンによる「カッティング・ジ・エーセス」で発表された技法。
ダブル・リフト
カード2枚を1枚のようにして、デックやパケットから取り上げる技法。
本来は2枚を持ち上げる技法がダブル・リフト、持ち上げずにデックの上でめくる技法はダブル・ターンノーバーと呼ばれるが、普通はめくる技法もダブル・リフトと呼ばれている。
ダブル・ディール
カード2枚を1枚のようにして配る技法。
ダミコ・スプレッド
カーメン・ダミコによる技法。片手でパケットをファンにするが、一部が重なったままというテクニック。
ターンノーバー・チェンジ
ポール・カリーの技法。デックを持った手でテーブル上のカードをひっくり返す動作で、デックのボトムカードとチェンジする。
ターンノーバー・パス
ハーマン・パスのバリエーションで、デックをひっくり返す動作の中でパスするテクニック。
チで始まる言葉
チェンジ
カードをすり替える、または変化させる技法の総称。
正確には、観客に気づかれないように行うすり替えをスイッチ、変わったことが見えるものをチェンジと呼ぶが、必ずしも常に当てはまるわけではない。(例:トップチェンジなど)
ツで始まる言葉
テで始まる言葉
ディーリング・ポジション
カードを配るときのデックの持ち方。
ディール
カードを配ること。
ディール・シャッフル
デックをいくつかの山に配り分けて、それを集める操作のシャッフル。
ティルト
カードをデックの真ん中に入れたように見せて、実は2枚目(もしくはその付近)に入れる技法。近年はアンビシャスカードによく使われる。
ティルトはエド・マーロー考案の技法だが、同時期にダイ・バーノンも同様の技法を発表しており、そちらは「デプス・イリュージョン」と呼ばれる。
どちらがオリジナルであるかという論争はあるが、今日ではティルトの呼び方が一般的。
ディレイド・クライマックス
クライマックスのために、最初から周到な用意を仕込むこと。
デック
トランプ1組のこと。必ずしも1組全部が揃っている状態ではなく、多少カードが減った状態でも、一組の大部分をデックと呼ぶ。
デック・スイッチ
使用中のデックを、気づかれないように他のデックにすり替える技法。複雑なセットをしたデックや、仕掛けのあるデックを使う場合に行われることが多い。
デバイデット・カード
カードのフェイスが上下または斜めなどで分割され、別々のカードが印刷されたギャフカード。
テーブル・ホッピング
多数のテーブルがあるパーティー会場などで、マジシャンが各テーブルを移動しながらそれぞれ短時間の演技を見せて回る、ショーの形式。
レストラン、カフェや宴会場等、様々な会場・人数に容易に対応できるため、クロースアップマジシャンの仕事としては一般的な形態。
テーブル・マジック
テーブル上で演じるマジックという意味だが、実際にはクロースアップ・マジックとほぼ同じ意味で使われる。
デュプリケイト・カード
他のデックから追加した同一のカードのこと。
テンカイ・スプレッド
石田天海による技法。パケットを片手でファンに広げるが、一部分が重なったままというテクニック。
テンカイ・ターンノーバー
石田天海による技法(サトルティ)。テンカイ・オプティカル・ターンノーバーとも呼ばれる。デックの半分を裏返したように見せて、実は方向は変わっていないという錯覚的技法。トライアンフの手順でよく使われている。
テンカイ・パーム
石田天海によって考案されたパーム。親指以外の4指が自由に使えるが、普通のパームよりは角度に弱い。
テント・バニッシュ
デックの上に1枚のカードを斜めに立てかけて、それをパームしたように見せかけて消すバニッシュ技法。
トで始まる言葉
トップ
デックやパケットを裏向きにした状態で、一番上のカード。
トップ・コントロール
任意のカードを気づかれないように、トップに持ってゆくこと。
トップ・ショット
デックから1枚のカードを鋭く飛ばす。レナート・グリーンの技法。
トップ・チェンジ
デックのトップカードと、右手に持ったカードをすり替える技法。チェンジの中でも古典的な方法。
トップ・パーム
デックやパケットのトップカードをパームすること。
トピット
手に持った品物を、跡形も無く消してしまえるギミックの一種。セルバントを身体に取り付けたものとも言える。
トライアンフ
裏表ごちゃ混ぜにしたカードがいつのまにか全て裏向き(または表向き)に揃う現象。
揃うと同時に、選ばれたカードだけがひっくり返って出てきたり、4枚のAなどの特定のカードが表向いている、という手順が多い。
トライアンフ・シャッフル
トライアンフの原案に用いられたシャッフルで、プッシュ・スルー・シャッフル(プル・スルー・シャッフル)の変形。
トリプル・リフト
マルティプル・リフトの一種で、3枚のカードを1枚のようにして取り上げるもの。
ドリブル
デックやパケットを水平に近い状態で持ち、下の1枚~数枚程度ずつのカードをパラパラと連続して落としてゆく操作。
ドリブル・フォース
ドリブルをしながら、観客に好きなところでストップをかけてもらう、という手続きで行われるフォース。
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