「マジシャンVSギャンブラー」 ハリー・ロレイン “Magician VS Gambler” by Harry Lorayne

ハリー・ロレインは奇術と記憶術の分野における大家で、どちらの分野でも数多くの著作があります。

 

マジックの分野では、”Close up Card Magic”や”Best of Friends”のような名著、ターベル・コース・イン・マジック第8巻の編纂、そして奇術雑誌Apocalypseなどの著作がとくに有名です。
また、Apocalypseの仕事をともに行った関係から、奇術解説者としてのリチャード・カウフマンの先輩に当たる人でもあります。

 

解説者としての名声が特に大きいハリー・ロレインですが、本人の作品にも歴史に残る傑作が多数あります。
今回紹介の「マジシャンVSギャンブラー」は、その中でもとくに有名なもののひとつでしょう。
高木重朗氏の解説を通じて、昔から日本人マジシャンに親しまれている奇術でもあります。

 

「カードマジック事典」に掲載されている作品でもありますので、今回の記事は「カードマジック事典動画」にもカテゴライズしてあります。

 

「マジシャンVSギャンブラー」の内容

動画を作成してみましたので、よろしければご覧ください。

 

>>動画リンク<<

 

ギャンブラーをテーマとしてはいますが、ポーカーやブラックジャックといった特定のゲームがテーマではなく、マジシャンである演者とギャンブラーが対決した場面の再現、というテーマになっています。

 

そういう意味では、以前紹介したサイ・エンドフィールドの誰にも負けない賭博師と同じテーマの奇術です。

 

サイ・エンドフィールドの作品が、どんでん返しの現象まで含めて演者の予定調和の中で進められてゆくのに対して、こちらのハリー・ロレインの作品はサッカー・トリックとなっています。

 

このように、4枚のうち3枚まで成功し、4枚目で失敗したと見せかけて実は・・・というパターンはカードマジックの歴史上数多くの例がありますが、おそらくはその源流はダイ・バーノンのマッチング・ザ・カードあたりに辿ることが出来るのではないでしょうか。
ちなみに余談ですが、マッチング・ザ・カードはバーノンが彼の師匠ネイト・ライプチヒに教えて、ライプチヒが気に入って自らのショーで使用したという有名な作品です。これについても近いうちに取り上げたいと思っています。

 

ハリ-・ロレインの「マジシャンVSギャンブラー」では、サッカートリックのエンディングからさらに、最初に出そうとして失敗したはずの4枚の絵札が別々のポケットから出現する、というダブルクライマックスの形となっているのが特色ですね。

このカード・トゥ・ポケットの部分の基本のアイデアは、元々はポール・ルポールの「内気なクイーン」”Bashful Queen”に用いられたものです。
ルポールの本には、これはジェイコブ・デイリー(ドクター・デイリー)のアイデアであると書かれています。

 

このアイデアは絵札のカード・トゥ・ポケットに用いる方法としては非常に有効で、近年でもダローによる「ダイヤモンド・バー」などの作品に効果的に用いられています。

 

マジシャンVSギャンブラーの演出について

この作品や、以前に紹介したダイ・バーノンのカッティング・ジ・エーセスなどでもそうですが、基本的なテーマがマジシャンとギャンブラーの対決ということになっています。

 

つまり真面目にテーマに沿って演じるならば、「私はあるとき、ギャンブラーと出会いました~」というくだりから入ることになります。
しかしやっぱり、日本人にとってプロのギャンブラーなんてものは得体の知れない職業です。
そもそもポーカーやブラックジャックさえ、ほとんど知られていないお国柄ですからね。
そんな中で真面目くさって「ギャンブラーと会いまして~」みたいなセリフを言っても、なかなか観客には受け入れられにくいでしょう。

 

これに対してわたしとしては、2つの方向性が考えられます。

 

ひとつは、もうギャンブラーなどというテーマを捨てる、あるいは単なる伝聞の扱いにとどめて、あくまでマジシャンとしての自分のスキルの挑戦という形にすること。
サイ・エンドフィールドの作品の私の動画でもそういう形でしたし、今回の演技でも、動画の中で”ギャンブラー”というセリフは一言も出てきません。
日本で演じるなら、こういう方向性がまあ無難なのではないかな、と思います。

 

もうひとつは、あくまで演劇として割り切って演じることでしょうか。
いわば西部劇の役者に成り切るようなつもりで、その世界観の中でカードマジックを演じる。
徹底的に非日常の、クロースアップではあれどもショーアップされた舞台のような演技。
こういう演出はとても魅力的で、機会があればやってみたいと思いますけどね。
マジック以外の演技力も要求され、なかなか大変でしょう。

 

「マジシャンVSギャンブラー」の解説書籍等

日本語では高木重朗氏編纂の「カードマジック事典」に「マジシャンvsギャンブラー」というそのとおりの題名で掲載されています。

 

また同じ高木氏の著書「奇術入門シリーズ カードマジック」にも掲載されています。
高木先生の、この作品に対する評価が伺えますね。

 

映像では、ハリー・ロレインの”Harry Lorayne’s Best Ever Collection Vol.1″というDVDに収められています。

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  • @KotouchiS また、件の見せ方自体を"Freeman Display"と呼ぶようでもありますね。 https://t.co/LvGvhyhdKo フリーマンのムーブ自体の正確な形が分からず、メンドーサのノート自体も持っていませんので、詳しいことは分かりませんが……
    about 5日 ago
  • @KotouchiS 調べてみると、確かにフリーマンという情報もありますね。 MagicCafeの下記ページでは、フリーマンの技法だけども、彼は発表しなかったとあります。 https://t.co/AhvfATlMkP
    about 5日 ago
  • @rouis_ymgs @KotouchiS @Seven_Magica ここの動画の冒頭で行われているプロダクションがそうではないでしょうか。 https://t.co/83hzgvDaf7
    about 5日 ago

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