コインマジック

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「トリオ・イン・スリー」 ギャリー・カーツ “Trio in Three” Gary Kurtz コインアセンブリの変則的作品

ギャリー・カーツはカナダのマジシャン、メンタリストで、近年はほぼメンタリストとしての活動オンリーになっているように聞いたことがあります。
しかし若い頃はスライハンドを駆使したクロースアップマジックの名手として知られ、とくにコインマジックにおいて有名であった印象があります。
氏のレクチャービデオの題名”Let’s get flurious”にも採られたジャンボコインルーティン、”Flurious”は、ジャンボコインの扱いに新しい地平を見せた、当時画期的な手順でした。

ギャリー・カーツの作品の中で私が最も好きな作品が、今回ご紹介のトリオ・イン・スリーです。
いやむしろ、私が演じるコインマジックのレパートリー全体の中でも上位に入るマジックです。まあレパートリーというのはそもそも好きな作品がそうなるものだ、という面はもちろんありますが。

今回ご紹介の「トリオ・イン・スリー」”Trio in three”も、上記と同じビデオに収録された手順です。

 

ギャリー・カーツの「トリオ・イン・スリー」

この作品、以前私がテーブルホッピングを行っていた頃、かなり頻繁に演じていた手順のひとつでした。
テーブル面が必須なので、ホッピング向けかどうかと言われると疑問な点もありましたが、やはり自分が好きであるということと、効果は間違いないと思えたというのが理由です。

まず、動画をアップしてありますのでよろしければご覧ください。

今回の記事、一応コイン・アセンブリーのタグを付けましたが、この手順自体はコインアセンブリとして見た場合はかなり変則的なものです。

第一段で演じられる、重ねた2枚のカードの下への1枚ずつの飛行は、これはアセンブリと見なしても良いでしょう。
以前紹介した六人部慶彦氏のスリー・コイン・アセンブリのスローモーション・バージョンとも言えます。

ただしトリオ・イン・スリーでは3種類の異なるコインを用いる点が、一般的なアセンブリに比べて不可能性を増す要素です。
用いているコインは、ウォーキングリバティイングリッシュペニー、メキシカンセンタボの3種類です。

その後一旦アセンブリ現象から離れて、手の中での交換現象を演じる部分が入ります。
この段ではギャリー・カーツの原案では数回同じ交換を繰り返して見せていましたが、私はここは1回だけでさらりと流す感じでやっています。
そのまま交換現象としてマジックが終わると思いきや、最後には再びコインアセンブリ的なテーマに戻るのが素晴らしいところです。
このエンディングによって、マジックには大切なカタルシスがもたらされるとともに、全体がコインアセンブリとして纏め上げられている感じがします。

途中に挟まれる2対1の交換現象は、いわゆるCSBコインの名で知られるスリー・コイン・トリックの基本現象と同様です。
トリオ・イン・スリーでも、類似のギミックコインを用いています。

 

「トリオ・イン・スリー」のバリエーション

ギャリー・カーツのトリオ・イン・スリーは、magiccafeの投稿などを見ていても、多くのマジシャンに傑作と見なされているようです。
わたしの手持ちの本の中に、これのバリエーションが掲載されているものがありましたので、併せてご紹介します。

現代の変態的(ほめ言葉です)コインマンの一人として知られるリード・マクリントック”Reed McClintock”のレクチャーノートシリーズ、”Knuckle Busters Series”のVol.2に収録されている”Three with CSB”という手順がそうです。

このシリーズの表題となっている”Knuckle Busters”とは、指関節が壊れるほど多くの練習が必要という意味で、つまりそのぐらい難しいということです。
“Three with CSB”もそのシリーズのひとつということで、確かに原案よりも難しくなっていますw

上の記事で、トリオ・イン・スリーにはCSBコインに類似のギミックを用いると書きましたが、Reed McClintockの”Three with CSB”はその名の通り、用いるギミックをCSBに置き換えたというのが主なコンセプトです。
まあ、この置き換えによって発生する特有の問題に対する解決法に付随して、ハンドリングが難しくなっているという面はあります。
しかし見た目の不可能性という点では(とくに一般人相手では)、原案よりも”Three with CSB”のほうが上回っている印象はあります。
そもそも、CSBコイン自体が一般人相手には非常に効果的なギミックですからね。

 

「トリオ・イン・スリー」を解説した資料等

この作品はギャリー・カーツのレクチャーDVD「Let’s Get Furious」に収録されています。
ギャリー・カーツの作品集としては、リチャード・カウフマン著のハードカバー本”Unexplainable Acts”がありますが、これにはこの手順は載っていません。

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