“Thieves and Sheep” 「泥棒と羊」 セルフワーキング・コインマジックの古典作品

thieves and sheep

セルフワーキング・トリックとは、自動的に出来るマジックのことです。
つまり、秘密操作や仕掛けなどが何も無く、見た目通りの動作をそのまま行えば、自動的に出来るということです。

 

セルフワーキング・トリック=簡単なマジック、初心者向けの手品、という認識の方もおられるかも知れませんが、必ずしもそういうわけではありません。
もちろん初心者向けとされる作品もありますが、この種のマジックの中には専門家をも欺く超不思議なものも数多くあります。
また、手法の面で簡単であるだけに、演出が重視される作品もあり、一概に簡単なマジックとは言えないものです。

 

カードマジックではこの種の作品は数多くあります。
しかしコインマジックではその性質上、なかなかカードマジックほどには数理的原理を応用しにくい面があり、セルフワーキングのコインマジックというのはそう多くはありません。

 

今回紹介する”Thieves and Sheep”は、そんな数少ないセルフワーキング・コインマジックの古典的作品のひとつです。

 

Thieves and Sheep

このマジックも動画にしてみましたので、よろしければご覧ください。

>>動画リンク<<

 

前回の動画でも声を入れてみましたが、このマジックでも特にストーリーが重要なので、しっかりと語りを入れてみました。
その結果、単純な現象にもかかわらず、演技時間が4分以上にもなってしまいました^^;

それに、語りが何だか幼児相手の絵本読み聞かせみたいな調子で、若干まどろっこしい面がありますが、どうかご容赦ください。

 

このマジック自体は非常に古いもので、1952年発行のBobo著「Modern Coin Magic」の時点で、”ancient trick”との表現が書かれています。
元々は紙玉で演じられるマジックだったそうです。

 

紙玉でもコインでもやることは同じで、片手に5つ握りこめる大きさの物体であれば、どんなものでも演じられます。
そうですね、例えばナプキンを丸めたもの、ビールの王冠、碁石、ボタン、キャラメル、キャンディーなどなど、色々身の回りの物で出来ます。

 

とくにここでは詳しく手順を解説することはしませんが、見えている通りの手順を間違えずに行えば出来ますので、興味のある方は研究してやってみてください。
ただし、やるからにはしっかりと覚えて練習してくださいね。
手順の途中でうっかり間違えてやり直したり、迷って考えたりしては台無しです。

 

一般にセルフワーキング・トリックでは操作に気を使う必要が少ないだけに、演出のほうにマジシャンの余力を多く割くことが出来ます。
この”Thieves and Sheep”もそうなのですが、とくにこのマジックでは手法と演出が分かちがたく結びついていますね。
泥棒が盗もうとした羊を一旦戻す、というくだりは、巧妙であるとともに可笑しさが生じる場面でもあります。
落語でも盗人噺は人気がありますから、このマジックもストーリーテリング次第で、かなりのエンターテイメントになりそうです。

 

なお、この種のマジックではよく、「タネの無いマジック」という表現がされる場合もありますが、これは違います。
秘密操作や仕掛けの類が何もないというだけで、マジックとして不思議に見えるからには、タネはあるのです。
セルフワーキング・トリックの場合は、その「原理」がタネであると言うべきでしょう。

 

最後に余談ですが、このマジックの題名を書くとき、私はうっかり「Sheepは複数形のSheepsとするべきじゃないのか?」なんて思ってしまいました。
もちろん、sheepは代表的な単複同形の名詞で、複数形でも同じsheepなんですね。
中学の英語教育を受けたのは遥か昔の話で、ド忘れしていました・・・^^;

 

Thieves and Sheepを解説した文献等

欧米では古くから知られている作品だと思うのですが、オリジナルをきっちり解説している本というのは意外と見つからないものですね。
最近の本では、David Pogue著「Magic for Dummies」に、シンプルなセルフワーキングタイプの手順が載っていました。
また、ちょっと今手元になくて確認できないのですが、日本語の本では井上香著「手品・奇術・魔術」という本に載っていた記憶があります。

 

映像では、Michael Ammarの「Introduction to Coin Magic」に、コインを8枚使う手順が解説されています。
余分なコインが1枚多いものの、基本的には私の動画で演じているものと同じ手順です。

 

この作品の改案もいくつか発表されており、古くはBoboの「Modern Coin Magic」に、またもうすこし近年ではRichard Kaufman著「Lou Gallo The Underground Man」に興味深い改案が載っていました。いずれも名称は”Thieves and Sheep”で、セルフワーキングではなくスライハンドやギミック等を併用した手順となっています。

 
Lou Galloの手順については近々別記事で紹介したいと考えています。

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コメント

    • 峯崎浩一
    • 2014年 9月 22日

    テンヨーの新製品「ふじいあきらが教えるスーパーコインマジック」に
    この作品が収録されてました。ストーリーはふじいさんらしく、かなり
    砕けた内容になってますね。

    • 情報ありがとうございます。もうお買いになったのですか。
      ジャンボ500円も付いてるので、良さそうな商品ですね。見つけたら買ってみたいです。
      逆に私の動画のストーリーは、今にして見ればちょっと冗長な感じもします。

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  • Amazon、「ダッシュボタン」拡充 1000種以上に対応 - ITmedia ビジネスオンライン https://t.co/jMFGTc4JhT  バイスクルトランプのダッシュボタンは、さすがに無いよね。
    about 4週間 ago
  • @you_you_1 @ShinanoCraft Too Perfect Theoryですかね。これは若干違うようなw
    about 2か月 ago
  • @ShinanoCraft @you_you_1 わたしもその台無しで出来る?って言いたいですw
    about 2か月 ago

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