「専門家のための4枚のA」サイ・エンドフィールドによるコリンズ・エフェクト ”Aces for Connoisseurs” Cy Endfield

cyendfield aces

カードに限らず、物が消失するという現象は、マジックの中でもとりわけ魅力的です。
その不可能性と単純さは、蠱惑的とさえ言ってもよいほどに、マジシャンを惹きつけてやみません。

 

スタンレイ・コリンズによって考案された通称「コリンズ・エーセス」は、カードマジックにおける消失現象の中でも古典的なものです。
おそらくは4エース・アセンブリの一種に分類されうるとは思いますが、移動というよりは消失を綺麗に見せることが、全面に出た作品です。

 

スタンレイ・コリンズのエース・エフェクトは多くのマジシャンにインスピレーションを与えてきました。
数多く発表されているバリエーションの中で、おそらく最も有名な手順のひとつが、サイ・エンドフィールドによる”Aces for Connoisseurs”でしょう。

 

サイ・エンドフィールドは本業は映画監督で、いわゆる今で言うB級映画のような作品を作っていたようです。
マジシャンとしてはアマチュアなのですが、同時代以降の多くのマジシャンに影響を与え、とくにカードマジックにおいて大きな足跡を残した大家のひとりです。
今回の”Aces for Connoisseurs”以外にも、”Cards to Pocket”や”Card Penetration and Change”などの作品が有名です。

 

サイ・エンドフィールドによる「専門家のための4枚のA」

それでは、動画をアップしてありますので、よろしければご覧ください。
なお、最近新しいカメラ(Sony Nex 5N)を購入しまして、今回の動画はそちらのカメラによるものです。今後撮影する動画は、こちらのカメラを使用することになると思います。

 

>>動画リンク<<

 

この作品は、サイ・エンドフィールドの作品集、ルイス・ギャンソン著「サイ・エンドフィールドのカードマジック」(原題:Cy Endfield’s Entertaining Card Magic)に掲載されています。

 

スタンレイ・コリンズによるこの現象は、現在では「コリンズ・エーセス」などと呼ばれていますが、元々は”The Alpha Ace Trick”とされていました。
この手順に用いられている消失の鮮やかさが多くのマジシャンに指示され、時の試練に耐えてゆくうちに、スタンレイ・コリンズといえばこのトリック、ということになり、「コリンズ・エーセス」と呼ばれるようになっています。

 

サイ・エンドフィールドによるこの改案手順でも、原案で用いられていた消失手法の基本的な構造は踏襲されています。
しかし技法や見せ方に、彼流のアレンジが加わっており、全体のハンドリングは随分と現代的な印象になっています。

 

とくに、4回の消失を全て異なる手法で見せている構成が、エンドフィールドのマニアックな意図でしょうか。
彼の作風としては、難しい技法を用いることはあっても、マジックとしては純粋で単純、一般人相手へのアピールも十分といったものがあります。
しかしこのコリンズ・エフェクトの改案に関しては、どちらかと言えばマジシャン相手に喜ばれる手順であったと思います。「専門家のための」と名付けられた所以です。

 

この手順について、松田道弘氏の著書でも印象的な指摘がありました。
松田氏は若い頃、この「専門家のための4枚のA」に宝石のような魅力を感じ、何度も練習した末にレパートリーに入れて、人に見せていたそうです。
しかし、手順は鮮やかに決まっていると思えるのに、どうも観客の反応が微妙である。
後年の松田氏はこの点について、いかに消失を鮮やかに見せようとも、最初にエースが消えた後の2枚目、3枚目、4枚目は、観客にとっては同じことの繰り返しに見えるからだ、と分析されています。
スローモーション・4Aをはじめとして、エース・アセンブリの奇術は全般的にこの問題を内包している感じはあります。

 

しかし私としては、不思議さや意外性だけでなく、ときにはそれらの要素を減じたとしても、様式美的なものを見せる演技があっても良いのではないか、と思っています。
私の演技でそれが実現出来ているという主張ではなく、それを目指したいという願望に過ぎませんが。
「専門家のためのA」だけでなく、例えば私はオープン・トラベラーなども好きですが、あれも様式美というか、予定調和的な面が強いですよね。

 

あと、原案でもそうですが、この手順では4枚のエースが消失した後、5つの手札を配るという点に多少の不自然さはあります。
4枚のエースを使ったマジックなのに、なんでそこで5つの山を配るのか。ちょっと違和感があります。
海外ではポーカーハンドを5つ配るようなことも多いので、日本人ほどの違和感は感じられないのでしょうか。分かりませんが。

 

カズ・カタヤマ氏はプロとしての演技でコリンズ・エーセスを演じられていますが、氏の手順では上の違和感を解消し、4つの山を配る形とされています。

 

「専門家のための4枚のA」の題名について

題名について補足させてください。
今回の記事および動画では、題名を「専門家のための4枚のA」としましたが、上記の本での高木重朗氏による訳では「専門家のための5枚のA」となっています。
原題は”Aces for Connoisseurs”ですから、どこにも”5枚の”という言葉はありません。(Connoisseurは専門家・玄人などの意味)

 

これが誤植でないとすれば、恐らく理由として考えられるのは、この作品の直前に解説されたマジックとの関連です。
この作品の前には、「エースが5枚ある」と題された作品が解説されています。この手順は4枚のエースを数えてみたら5枚あった、というバイプレイのような小品マジックで、エンドフィールド自身は”Aces for Connoisseurs”の前にこれを演じることが多かったとのことです。

 

「エースが5枚ある」の後に続けて行うから、「専門家のための5枚のA」となったのでしょうか。
しかし、”Aces for Connoisseurs”自体にはエースが5枚出てくるような場面はとくにありませんし、このネーミングは不自然に思いました。それで、本記事では独断で「専門家のための4枚のA」としてみたということです。

 

「専門家のための4枚のA」を解説した文献等

すでに述べましたように、この作品はルイス・ギャンソン著「Cy Endfield’s Entertaining Card Magic」に掲載されています。
元々の本は3部作で1955-58年にかけて出版されたものですが、近年3冊を1冊にまとめた合本も出ているようです。
また、リアルな書籍でなくe-book(電子データ)の形態でも販売されているみたいです。

 

日本語では、高木重朗氏の訳による「サイ・エンドフィールドのカードマジック」が金沢文庫から出ていますが、絶版になってから長く、なかなか入手は困難だと思います。
やはり入手しやすいのは英語版ということになるでしょう。

 

またサイ・エンドフィールドのこの手順ではなく、元のコリンズ・エーセスの様々なバリエーションを集めたDVD「The Collins’ Aces」というのが、L&L Publishingから出ています。
こちらも参考になるかも知れません。

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  • @you_you_1 @ShinanoCraft Too Perfect Theoryですかね。これは若干違うようなw
    about 4週間 ago
  • @ShinanoCraft @you_you_1 わたしもその台無しで出来る?って言いたいですw
    about 4週間 ago
  • https://t.co/RKdQJ1Uskq 見てみました。これは確かに全然分からん。最初のほうはまだしも、触れずに一瞬にしてリバースとか、通常の手法では解決法が思いつかないですね。
    about 4週間 ago

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