先日紹介いたしました、ポール・ハリスのリセットには、膨大なバリエーションが考案・発表されています。
そもそもリセット自体がブラザー・ジョン・ハーマンのアンダーグラウンド・トランスポジションのバリエーションとも言えるもので、その源流からのバリエーションも数多くあるのですが、リセットからの派生に限っても数多くあります。
2種類のフォア・オブ・ア・カインドを使ったトランスポジション現象、その一枚ごとの交換にバラエティを持たせる余地が大きいことが一番の要因でしょうか。
また、現象としても原案のようにリセットせずに交換したままで終わるもの、1枚ずつではなく一気に全部交換するもの、戻った後交互に混ざるもの、さらに表裏も交互に混ざるもの、裏色違いで演じるものなど、極めてバラエティ豊かな派生形が生み出されています。
さて今回ご紹介のアール・ネルソンの「リセット・リセット」は、そういった豊かなバリエーション群の中にあっては、極めてオーソドックスな手順です。
現象そのものは原案のリセットと何ら変わりませんが、その手法がアール・ネルソンらしいスマートな技法を用いたものとなっています。
リセット・リセットの手順
動画を作成しておりますので、よろしければご覧ください。
前回の記事でも触れましたとおり、リセットのポール・ハリスによる原案をそのまま解説した日本語資料は、現時点ではほぼないように思われます。
それにも関わらず最近ではカードマジックを志す人が演じたいと思う奇術としては、かなり上位に来ていると思われます。
その多くは人づてに教わったり、Youtubeなどの動画を介して学んでいる例が多いように思われますが、なかなか原案の手順そのままの演技を見かけることはありません。
おそらく、原案よりもむしろ上のアール・ネルソンの手順のほうが、現在一般的に(少なくとも日本人マジシャンの間で)リセットとして演じられている手順の要素を多く含むのではないでしょうか。
実際、この「リセット・リセット」は、リセットのバリエーションとしてはベストのもののひとつであるとする意見もよく見かけます。
この手順どおりでなくとも、ハンドリングの傾向がこの作品に類似したやり方を採っている人は数多いようですね。
とくに、前半のセットアップ部分のBiddle Moveによる手法は、原案のHartman Additionを用いたやり方よりは確実に広く用いられているでしょう。
そういう意味で、リセット・リセットは原案よりもむしろスタンダードになった手順とさえ呼べるかもしれません。
私自身が普段演じる手順も、比較的このリセット・リセットに近いものです。
なお、アール・ネルソンの手順解説では、最後に4枚ずつに分かれていることを示すクリーンアップの部分が省かれていましたが、ここについては私が普段よく用いている手法を適用しています。
この部分は、ビル・マローンやアルフォンソが演じているやり方によるものです。
このラスト部分だけはアール・ネルソンの手順どおりではないことを、ご承知おきください。
アール・ネルソンの「リセット・リセット」の解説文献
この手順はアール・ネルソンの作品集”Variations”という本に解説されました。
この本は近年、”Variations Revisited”として再編集されて出版されています。
カード・コインをメインに、指輪の手順なども収められており、多くの写真が用いられた美しい本です。
本人の演技および解説映像は、”The Lost Tapes”というDVDの2巻で見ることが出来ます。
私もリセットは知人に教えてもらった口です・・(^^;
それよりこのBGM良いですね♪ ホルスト「惑星」のピアノ版ですか。
惑星組曲のジュピターのピアノ版ですね^^
わたしが愛用している海外の無料楽曲サイトhttp://incompetech.com/から使わせていただいた曲です。
つい最近リセットを覚えてずっと練習しています。
エルムズレイ・カウントからのその後の処理についてなやんでいいましたが、
この動画で、いい感じにできました。
ありがとうございます。
話は変りますが、「ラリージェニンス カードマジック」という本で、 一番すきなマジックはなんですか?教えて下さい。
お役に立てたようで嬉しいです。
「ラリージェニンス カードマジック」ということは、加藤英夫氏著の入門書じゃなくて、東京堂出版から出ているマニアックな本のほうですよね。
実を言うとあの本は全部は読んでいないので、「一番好きなマジック」というのはちょっと違うと思いますが・・・
そもそもプロットが好きということで、「インビジブルパーム・エーセス」ですかね。