久々にカードマジック事典からの作品の紹介です。
ブルース・サーボン”Bruce Cervon”によるポーカー・デモンストレーションの作品、”Perpetual Motion Poker Routine”です。
ブルース・サーボンはダイ・バーノンの高弟の一人で、ラリー・ジェニングス、マイケル・スキナーと並んで、3羽烏と称されることもありました。
3人の個性として、ジェニングスは創造性、スキナーは技術、そしてブルース・サーボンは、見せ方が一番であるとも言われます。
純粋にマジックのパフォーマーとしての能力に秀でているのがサーボンということでしょうか。
サーボンの作品はわたしもいくつか読んだり演じたりしてきましたが、プロらしい簡潔なメソッドがとくに際立っている印象です。
現象は、ときに結構マニアックで複雑なものもあります。
しかし方法論の組み立て方が、技術至上主義でもなく、さりとてギミックにも頼り過ぎない、何と言うかうまいセンスが感じられるんですよね。
ちょっとわたしの語彙力ではなかなかうまく伝えきれませんが、一言でいえばプロタッチということかも知れません。
Perpetual Motion Poker Routineについて
閑話休題。
ポーカーを主題にしたマジックといえば、有名なものとしてハリー・ロレインのポーカールーティンや、テン・カード・ポーカー・ディールなどがすぐに思い浮かびますが、ブルース・サーボンのPerpetual Motion Poker Routineは、それらに比べればかなりの大作の部類に入りそうです。
実際、全部で4回もポーカーハンドを配りなおす手順というのは、この種の手順の中ではかなり長いほうでしょう。
この作品では4回のディールにおいて、手順が進むにつれてどんどん強い手が集められてゆき、最後には対戦者側の4つの手札を含めすべての山に良い役が集められ、それでもディーラーが最後にはr勝利します。
以下、この手順を動画に撮ってみましたので、よろしければご覧ください。
よく出来た手順だと思います。
この種のポーカーデモンストレーションの手順では、うまくやる必要は必ずしもないにしろ、ボトムディールなどのフォールスディールが必要なものも多いです。
しかしこの作品は、フォールス・シャッフル&フォールス・カットを別にすれば、ほとんどセルフワーキングで出来る手順です。
手順の後半に進むにつれてどんどんと良い役が出てくる構成力には、本当脱帽ですね。
フォールスシャッフルやカットをほとんどやらないで演じることも可能ではありますが、わたしの感覚ではある程度入れたほうが良いと思います。
やはりシャッフルやカットをやらないで演じてしまうと、事前のセットしかありえないんじゃないかという推測をされやすいでしょう。
この感覚は、一種のToo Perfect Theoryのような問題意識かも知れません。
あと蛇足かも知れませんが、やはり日本でこの種の手順を演じるときは、事前にポーカーの役の強さの順番を確認しておいたほうがいいかも知れませんね。
ちなみに当サイトの読者の方々はご承知かとは思いますが、弱いほうから順番に
ノー・ペア<ワン・ペア<ツー・ペア<スリー・カード<ストレート<フラッシュ<フルハウス<フォー・カード<ストレートフラッシュ<ロイヤルストレートフラッシュ
です。
Perpetual Motion Poker Routineの手順構成
Perpetual Motionとは、永久機関のことです。
つまりPerpetual Motion Poker Routineとは「永久機関のポーカー手順」という意味あいですね。
つまりこの手順は、終わった瞬間にまたすぐ繰り返せるようになっているのです。
準備なしで永久に繰り返せる手順だから、永久機関。なかなかしゃれたネーミングです。
デックのうちの数枚程度しか使わないようなマジックならともかく、こんな一大ルーティンで自動リセット完了というのはすごいことです。
上の私の動画の最後の場面では、もうすでにリセットが完了している状態になります。
一般的なテーブルホッピングスタイルの演技では、1テーブル当たり5分~10分程度が一般的でしょうから、なかなかこんな長大なポーカールーティンを演じる機会はないかも知れません。
しかし1テーブル当たり15分~20分ぐらい演技するようなスタイルであれば、まさにうってつけといえる作品ですね。
カードマジック事典には載っていませんが、本来このPerpetual Motion Poker Routineは、ブルース・サーボンによって発表された一連のルーティンの第三段だということです。
最初にまずカッティング・ジ・エーセスとエアロダイナミック・エーセスを演じ、そこから連続した形でPerpetual Motion Poker Routineに入る手順となっています。
考えてみれば、カッティング・ジ・エーセスはギャンブラーの思い出話にまつわるマジックですし、エアロダイナミック・エーセスもギャンブラーのテクニックに関するマジックとして演じられますので、まさにReputation Makerと呼べる手順構成ですね。
この三段構成の手順を全て覚えたい方は、カードマジック事典ではなくブルース・サーボンのレクチャーノートにあたってください。
Perpetual Motion Poker Routineを覚える資料等
ポーカールーティン本体のみが、カードマジック事典に掲載されています。
目次では「ポーカーデモンストレーション2」というのがそうです。
なお、今回手順を詳しくチェックして気づいたのですが、カードマジック事典におけるこの手順のセットの記載が一部誤っていると思われます。
現在の版で修正されているかどうか分かりませんが、私の持っている8版ではそのままでは成り立たない箇所がありました。
該当箇所を確認なさりたい方は、お問い合わせより質問していただければ個別にお答えします。
三段構成になっている手順全体の解説は、サーボン来日時のレクチャーノート「ブルース・サーボン・レクチャー」に掲載されています。
また、わたしは未入手ですがPerpetual Motion Poker Routineのみ単品でも商品化(DVD+テキスト)されているようです。
洋書では、”Bruce Cervon’s Castle Notebooks Volume 4″に解説されているようです。
いつも楽しく見させてもらっています!
突然で申し訳ないのですが…
カードマジック事典に掲載されているダイ・バーノン氏のポーカーデモンストレーション1手順表記に誤りは有りませんかね?
どうも手順の12の段階で上手く特定のカードが配られないのですが…
>ぽん様
コメントありがとうございます。
バーノン氏のポーカーデモンストレーション、事典の記載通りに手順を追ってみましたが、ちゃんと最後まで出来ました。
何か記載の見落としか、間違いをなさっているのではないでしょうか?
もしかしたらと思える間違いとしては、例えば最初のセットをボトムからではなく、トップからセットしているとか。
どうでしょうか。
わざわざ申し訳ないです!
もう一度手順を追ってみると最後まで出来ました!
どうやらジョーカーをデックに入れていたのが原因だったようです(汗
ご迷惑おかけしました…
>ぽんさん
いえいえ、お役に立てたのなら嬉しいことです^^
今後ともよろしくお願いします。