カードマジック

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「テーブル・リフル・シャッフルの解説」 Table Riffle Shuffle カードテーブルに適した形式のリフルシャッフル

トランプを混ぜるシャッフルのうち代表的なものに、リフルシャッフルがあります。
その他の代表的なシャッフルといえばオーバーハンド・シャッフルやヒンズー・シャッフルが挙げられますが、これらはその動きの構造が実質的にランニング・カット(少数枚のカットを繰り返す操作)と同じです。

それに対してリフルシャッフルは操作の構造自体が異なり、いわばシャッフルの中でも一番シャッフルらしいやり方とも言えます。
例えば、現代のカジノで使われることもある、カード・シャッフラーと呼ばれる機械があります。これは機械的にカードをシャッフルする装置ですが、これらも構造としてはリフル・シャッフルの操作を再現する形になっています。

リフルシャッフルにも大きく分けて2種類のやり方があります。
ひとつは以前に解説したIn the hand Riffle Shuffle(手の中で行うリフルシャッフル)です。
そしてもうひとつが、今回紹介しますテーブル・リフル・シャッフルです。
最初にこのやり方の特徴などを簡単に紹介し、その後詳細な方法の解説をいたします。
最後には動画での解説もあります。

 

テーブル・リフル・シャッフルの特徴

リフルシャッフルの2つのやり方の違いは、名称にそのまま表現されている通りです。
In the hand Riffle Shuffleが両手で完全に保持した状態で行われるのに対して、テーブル・リフル・シャッフルはテーブルに置いた状態で行うようにデザインされています。

見た目の違い以外の、その使用目的や性質の違いは、2つあります。
ひとつは、テーブルリフルシャッフルではデックのフェイス面を周囲の人に見られにくいということです。
基本的にデックをテーブルに伏せた状態で、持ち上げる動作は最小限で行える技法です。シャッフルするプレイヤーが手の位置などを意識すれば、周りのプレイヤーに期せずして表面が見られる心配はほとんど無くなります。
これは、真剣勝負のカードテーブルでは必須のことです。

それからもうひとつの特徴は、In the hand Riffle Shuffleに比べればカードを痛めにくいということが挙げられます。
In the hand Riffle Shuffleではデック全体を、ぐにゃりと大きく曲げてシャッフルすることになり、これはスプリングなどを行った場合と同じように、カードに曲がり癖が付いてしまうことを避けられません。
カードゲームでは1枚ずつのコンディションにバラツキが出てしまうことは、不安要因となります。
また、Playing Cardつまりトランプのゲームではあまり気にされませんが、トレーディングカードの世界などでは、カード自体が貴重な財産である場合も多く、In the hand Riffle Shuffleに否定的なプレイヤーが多いようです。

テーブル・リフル・シャッフルではその点、カードの曲げを最小限にして行うことが可能です。(ファロー・シャッフルに比べれば、若干は曲げてしまいますが)
これも、真剣勝負のカードテーブルで使われてきた所以でしょう。

 

なお、テーブル・リフル・シャッフルもIn the hand Riffle Shuffleも、いずれも単に「リフルシャッフル」と呼称されることが多いです。むしろ前記の呼び方は、あえてこの2つを便宜的に区別するときにだけ呼ぶ名前であり、一般的な呼称は両方とも「リフルシャッフル」で良いと思います。

ご存知の通り、日本で一般的にリフルシャッフルといえば、In the hand Riffle Shuffleのことです。空中ではなくテーブルに付けて行われることも多いですが、技法としてはIn the hand Riffle Shuffleです。
欧米のカードゲームなどの場では、おそらくどちらかと言えば、テーブル・リフル・シャッフルのほうが、普通のリフルシャッフルと見なされるのではないでしょうか。

カードマジックにおいては、トライアンフや、ギャンブリングデモンストレーション系手順など、多くの奇術と切っても切り離せない関係にある、重要なシャッフル法です。

なお、以下に解説する内容は、私が独自に動作を分割して記述したものです。
もちろん全体的には既存の方法に沿っていますが、細かいコツの話などは、「私はこのように認識しています」ということです。ここに書いたことが必ずしも絶対的に正当なものとは限らないということをご了承ください。

 

テーブル・リフル・シャッフルの解説

それでは実際のシャッフルを解説します。
このシャッフルは、基本的にデックをテーブル面から持ち上げずに行います。
まず最初に、自分の正面にデックを横向き(長辺のサイドが自分に向くように)置きます。
この時点で、デックはきっちり揃えた状態です。

デックの四隅を両手で掴みます。(写真参照)
下の写真では中指と親指のみで掴んでいますが、薬指も添えても構いません。人差し指は軽くトップに置きます。

Table riffle shuffle 01

 

左右どちらかの親指を使って、手前側のサイドの真ん中あたりで分け、上半分を少し持ち上げます。
持ち上げた親指は上半分のパケットを掴み、反対の手は下半分のパケットを掴んでいます。

Table riffle shuffle 02

 

そのまま、右手で掴んだパケットは右方向に、左手のパケットは左方向に動かし、半分ずつ左右に分けます。
このとき、2つのパケットが自分から見て”へ”の字を描くように、少し角度を付けます。演者側のコーナー同士が、軽く触れ合っている位置関係です。

Table riffle shuffle 03

 

人差し指をそれぞれパケットの裏面の真ん中あたりに置き、親指と中指で前後を掴みます。
写真では観客側サイドを中指のみで保持していますが、薬指や小指も添えても構いません。
また、パケットを掴む位置に関しても、デックをなるべく隠しながら行いたい場合は内側寄りに、また逆にできるだけオープンに演じたい場合は外側寄りにするなど、場合によって変化可能です。

Table riffle shuffle 03_1

 

パケット裏面を人差し指で軽く押さえつつ、親指で掴んだ手前側サイドを持ち上げます。
この動作と同時に、下の写真に黄色の矢印で示したように、それぞれのパケットを微妙に回転させます。”へ”の字がすぼまる方向への回転です。
それぞれの回転軸は、テーブルに付けた中指が支点になるイメージです。

Table riffle shuffle 04

 

左右の親指の下のほうから、左右なるべく均等になるように、カードをぱらぱらとテーブルに落としてゆきます。
さきほどの回転によってパケットの位置関係をずらしたため、落とされたカード同士がかみ合ってゆきます。

Table riffle shuffle 04_1

 

最後まで落としきると、下の写真のように、コーナー同士が1センチほどかみ合った状態となります。

Table riffle shuffle 05

 

ここからパケットを揃えてゆきます。
まず、左右のエンドをそれぞれの手で掴みます。このとき、薬指(または小指)を軽く曲げて、左右の短辺エンドにあてがいます。

Table riffle shuffle 06

 

左右から中央に向かって少し押し込みつつ、”へ”の字を真っ直ぐに戻すようにします。
中央部分が数センチ押し込まれた状態になったら、ここで一旦両手で掴んでいる部分を緩めます。
これは、押し込まれる動作によってカード同士の間隔が広がってゆくため、最初の位置で持ったままでは圧力がかかって押し込みにくくなるからです。
緩めるのはほんの一瞬で構いません。

Table riffle shuffle 07

 

あらためてパケットの両端を持ち直し、さらに全体の半分以上を押し込んでゆきます。

Table riffle shuffle 08

 

さきほどの持ち方のまま最後まで揃えてもいいのですが、より優雅に揃えた動作を印象付けるため、次のようなやり方が行われます。
最後まで揃えきっていない状態で、それぞれ中指の側面をデックのエンドに、親指を演者側サイドの真ん中あたりに当てます。人差し指は軽く曲げるか、トップに添えておきます。

Table riffle shuffle 09

 

手の形はそのままで、まず中指を左右それぞれ中央に向かって、互いにぶつかるところまで押し付けます。

Table riffle shuffle 10

 

そのまま動きを止めず、中指は演者側に、親指は左右に向かって動かします。
デックの右下と左下(演者から見て)のコーナーに向かって、親指と中指を閉じながら、デックを絞り出すような動作となります。

Table riffle shuffle 11これで、一連の動作が終わりです。
必要ならば、また最初の段階に戻って、リフルシャッフルを繰り返します。
あるいはランニングカットやコンプリートカットと組み合わせたりします。

 

テーブル・リフル・シャッフル動画解説

上記の文章による解説と同じ内容ですが、テーブル・リフル・シャッフルの解説動画も作成しておりますので、よろしければごらんください。

 

 

テーブル・リフル・シャッフルの補足

上の動画中でも解説しておりますが、パケットをリフルする部分についての補足解説です。

テーブル・リフル・シャッフルに慣れない人は、左右のパケットから細かくカードを落としてゆくのが、最初は難しいと思います。これは手の中で行うリフルシャッフルでも同様ですが。

この部分のコツとしては、弾く親指の反対側の中指(あるいは薬指も)をきっちり固定することと、人差し指の力加減があります。
中指側をずれないようにしっかりと固定し、さらに人差し指もある程度しっかりと押さえるながら、親指側をぐっと持ち上げるのです。

この動作により、親指の当たっているサイド面が、斜めに少し広がる状態になります。
親指が当たる面積が広がり、カード1枚1枚の間隔も若干広がります。
親指は人差し指に向かって押し付けるような力加減で、下から少しずつ離してゆけば、カードを細かく1枚ずつ落としてゆくことができます。
最初はあまりスピードを出さず、本当に1枚ずつゆっくり落とすような感じでやってみると、動きの感覚が掴みやすいと思います。

Table riffle shuffle 12人差し指をしっかりと押し付ければカードを細かく落としてゆくことが出来るわけですが、これは逆に言えば、人差し指の力加減によって、カードの落ちる密度を調整できるということでもあります。
動画の中でも触れていますが、人差し指の押す力を最小限にしてリフルシャッフルを行えば、わざと粗く噛み合わせるシャッフルを行うことも出来ます。

Push Through ShuffleやPull Out Shuffle等、テーブル・リフル・シャッフル関係の技法の中には、シャッフルがあまりに細かすぎないほうが望ましいものもあります。
そのような場合には、上記を意識してみるとよいかも知れません。

 

テーブル・リフル・シャッフルを解説した書籍等

以上、私なりの認識によるテーブル・リフル・シャッフルを解説いたしましたが、最後に市販書籍でこのシャッフルを解説したものを挙げておきます。

日本語になっている書籍で一番詳細なものは、東京堂出版から邦訳が出ている、ロベルト・ジョビの「カードカレッジ」1巻でしょう。
この本ではテーブル・リフル・シャッフルという名称は用いられていません。
「クローズド・リフル・シャッフル」「オープン・リフル・シャッフル」として、微妙に見せ方の異なる2パターンを解説してあります。

 

また「カードカレッジ」よりは遥かに簡潔な解説ですが、同じ東京堂出版の「カードマジック事典」にも、一通りのやり方の解説があります。
技法編の「テーブル上でのリフル・シャッフル The Tabled Riffle Shuffle」と題された項目です。

 

それから最後に、アードネスの古典「The Expert at the Card Table」(邦題:プロがあかすカードマジックテクニック)も見逃せない書籍です。
この本でのリフルシャッフルの解説は、普通のシャッフルというよりは、ギャンブルのイカサマを前提としたフォールスシャッフル(この本ではブラインドシャフル)が対象です。
しかしリフルシャッフル全般に対する解説として読んでも、参考になる部分が多々あるはずです。
文章が少々硬くて読みづらい本ではありますが。
上の私の解説で紹介した、最後に中指と親指を使って揃える動作も、最初に紹介されたのはこのアードネスの本であるようです。

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