ダイ・バーノンによるコイン・スルー・ザ・テーブルの作品、カンガルー・コインズ”Kangaroo Coins”を紹介いたします。
コインズ・スルー・ザ・テーブルというコインマジックは、硬いテーブルをコインが貫通するという、誰にでも分かりやすく不思議なテーマで、コインマジックの古典として有名なものです。
近年の傾向としては、テーブル無しで、ビジュアルに見せられるマジックが好まれ、このようなクラシカルなコインズ・スルー・ザ・テーブルは若干時代遅れと見なされている印象も無いではありません。
しかしやはり、骨太の古典には時代を経て生き残った風格というか味わいがあり、きちんと演じれば現代でも十分通用することは間違いないです。
コインズ・スルー・ザ・テーブルについて
手順としてのコインズ・スルー・ザ・テーブルには、大きくわけて二つの系統があります。
ひとつは、バーノンの作品であるチャイニーズ・クラシックや、スライディーニの演技に代表されるような、複数枚のコインが一気に貫通する作品。
もうひとつは、アル・ベイカーの作品が源流となっている、コインを1枚ずつ貫通させるやり方です。
どちらにも一長一短はあると思いますが、今回ご紹介するカンガルー・コインズは、後者の系統に属する現象です。
名著「Stars of Magic」に発表されました。
カンガルー・コインズの演技
では、私が演じるカンガルー・コインズの演技をご覧下さい。
基本的なコンセプトは、アル・ベイカーの原案に近いものですが、カンガルー・コインズを最も特徴付けているのは、グラスを用いるということでしょう。
コインが貫通した瞬間、グラスに落ちる音がしますから、貫通の不思議さが聴覚によって際立ちます。
グラスを使う分、テーブルの下で行う仕事はアル・ベイカーの手順よりも増えているのですが、それを補って余りある効果はあると思います。
また、ラスト1枚の貫通に関しても、グラスを使った巧妙なミスディレクションが仕組まれています。
アル・ベイカーの手順などでは、この部分ではハン・ピン・チェンを使い、それはそれで非常に巧妙なものですが、カンガルー・コインのこのラストの処理も、それに勝るとも劣らない優れた解決法です。
個人的には、このラストのコインの処理こそが、カンガルー・コインズの一番の魅力だと思っています。
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