“That’s Ridiculous” Paul Gertner ポール・ガートナーのコンテスト優勝コイン手順

ridiculous_small

ポール・ガートナーはアメリカのプロフェッショナル・クロースアップマジシャンで、クラシカルな作品を、その古典的なテイストを残しつつ、現代的に豪華にアレンジする作風が魅力的なマジシャンです。

ガートナーの作品としてよく知られたマジックと言えば、パーフェクト・ファローを駆使したカードマジック手順”Unshuffled”あたりでしょうか。
日本のテレビ番組でも、セロなどが演じていましたので、ご覧になったことのある方も多いと思います。(”そろいました”というやつです。)

その他に、アル・シュナイダーのコインマジック作品、マトリクスのバリエーションとして、数多くの手順が発表されているリバース・マトリクスも、その原典はポール・ガートナーによるものです。

今回ご紹介の”That’s Ridiculous”は、彼が1983年の第6回ラスベガス・デザート・マジック・セミナーで優勝したときの手順の一部です。
その後彼は1985年には、ほぼ同じ手順でFISMのミクロマジック部門でも1位を獲っています。

“That’s Ridiculous”はこのコンペティション・アクトの中間部分の手順ですが、このアクト自体がガートナーの名前とともに有名です。
アクトを構成する他の作品である”The Ring On The Hourglass”や”Steel Cups and Balls”もそれぞれが彼のシグネチャー・ピースとなっています。

 

ポール・ガートナーの”That’s Ridiculous”

では、動画を撮ってみましたので、よろしければご覧ください。

>>動画リンク<<

見たところはコインアセンブリのテイストがありますが、実際の現象は1枚のコインの消失と出現、それから予期せぬ連続プロダクションのクライマックスです。
前半の現象は、ある意味でテーブルを使ったワン・コイン・ルーティンとも見ることが出来るでしょう。

観客の心理としては、おそらく前半部では、複数枚のコインを隠しながら演じているのではないかという疑念を抱くでしょう。
そしてラストの部分で、「ああ、やっぱり2枚のコインがあった」と思ったのも束の間、あれよあれよという間に、3枚、4枚、5枚とコインが現れ、テーブル上がコインだらけになる。
この畳み掛けるクライマックスがこの手順の肝であり、ガートナーの真骨頂でもあるでしょう。

ちなみにこの作品の題名である”That’s Ridiculous”とは、「おかしい」「ばかげている」というような意味で、この手順の最後で発せられるセリフです。
コインが出るたびに合計金額を言うというのは、日本円コインを使わない限り日本人相手ではウケにくいかも知れませんが、上の動画ではガートナーの演出を踏襲してみました。

 

ラストのプロダクションについてですが、このハーフダラーが6枚、ワンダラーが2枚、そしてジャンボコイン1枚というのは、プロダクションの視覚的な効果と、実演でのリズムを考慮した、実に最適な構成だと思います。
このごく数秒の短い動きの中に、観客の意識の細かな驚きと弛緩のコントロールが、巧妙に仕組まれていることに惚れ惚れします。

これより出現枚数が少なければもちろん効果を減じるでしょうが、逆に多くてもリズムが崩れて効果が減ると思います。
例えばカップ・アンド・ボールで、ラストの果物などを大量に出現させる手順が、オーソドックスに4個出現させる手順に比べて、必ずしも常に効果が高いわけではない、という関係と似ているでしょうか。

 

個人的に思うポール・ガートナーの作風として、基本的にはEffect is Everythingであり、そのためには多くのギミックの使用や、高難易度も厭わないという印象があります。
もちろんほとんど技法のいらない簡単なマジックもありますが、時には力技とさえ思える手法を用いたりする作品もあります。

この”That’s Ridiculous”でも、なかなか大変な箇所がありますが、そこにあえて取り組むこともまた、ガートナー作品の魅力かなと思っています。(勝手な見解かも知れませんが)

一応Youtube上でもガートナー自身の演技を見ることが出来ます。
この作品のみの演技ではなく、また画質も粗いため紹介しませんでしたが、この動画の1:30あたりからこの作品を演じています。

 

思い出を少々

ほぼ20年近く前、私がまだ学生であった頃、このマジックは私のペットイフェクトのひとつでした。
出だしこそ比較的地味な形で始まるものの、ラストでポンポンと畳み掛けるように繰り出される豪華なプロダクション現象は、その頃の(今でもですが)私の好みにバッチリはまりました。
学園祭のクロースアップショーなどでは、毎日これを演じていたのを思い出します。

これを演じてみたのは、実におそらく15年ぶりぐらいですが、ここで使っているクロースアップマットは、20年ほど前に自作して使っていたマットです。
ラストのロード部分は、普通のマットでも出来ますが、このために特別に作ったマットのほうがやりやすいです。

 

ポール・ガートナーの”That’s Ridiculous”の掲載文献等

この作品は、リチャード・カウフマン著のポール・ガートナー作品集「Steel and Silver」に収録されています。

また同じ名前のDVDも販売されており、こちらはスクリプト・マヌーヴァによって日本語化もされています。

よろしければ、この記事に対しての評価をお願いします。 
最低イマイチ普通良い最高 (5 投票, 平均値/最大値: 5.00 / 5)
Loading...
※5段階の簡単評価です。★を選択することで誰でも簡単に評価できますので、お気軽に「ポチ!」をお願いします。
スポンサーリンク

関連記事

コメント

    • 峯崎浩一
    • 2013年 8月 06日

    > 20年ほど前に自作して使っていたマット

    テーブルからマットが浮いてる感じで、ジャンボコインがそのまま入っていると思われますが、水平を保っているので不自然さがないですね。

    私も昔、ロス・バートラムのマットをフェルトで作った事がありましたけど、管理人さんの手作りの完成度の高さには脱帽です。

      • Shanla
      • 2013年 8月 06日

      一応、マットのスポンジ層の下にベニヤ板の層がありますので、演技中にそれらが邪魔になるということは全くないです。
      難点としては、マット全体が完全に硬い板であるため、持ち運びに不便ということでしょうか。

    • ハセタカ
    • 2013年 12月 27日

    合計何枚、何ドルのコインを使いましたか?

    • ギミックコイン等は使ってないので、最終的に見えている通りです。
      1ドルが2枚、ハーフダラーが6枚で、合計5ドル分。
      それとジャンボコインですね。

    • ハセタカ
    • 2013年 12月 29日

    さっきスチール&シルバー第1巻を調べたのですが、That’s Ridiculousは載っていませんでした。
    ほかのを調べてみたら、第2巻のスチール&シルバーにThat’s Ridiculousがのっていました。
    掲載文献等には、第1巻となっていたので、お知らせいたします。

    • どうもありがとうございます。
      一応、私が紹介を書いたときの意図としては、あくまで掲載文献として紹介したのは「Steel and Silver」の書籍とDVDのシリーズ全体ということで、DVDの1巻に載っているというつもりではありませんでした。
      1巻の商品リンクを貼ったのは、単にこのシリーズの代表例という程度の意図でして。

      ただ、言われてみると確かに、That’s Ridiculousが1巻に載っていると紹介したと取られかねない書き方ではありますね。
      ご指摘感謝しますとともに、2巻のリンクに差し替えさせていただきました。

    • ハセタカ
    • 2013年 12月 30日

    あ、そうでしたかw
    shanlaさんの意図が読めず、申し訳ありませんでした。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

スポンサーリンク

Books

Twitter

  • 沖縄で結構な地震が!めずらしい…
    about 1か月 ago
  • 「電話はかけてこないで」はあちゅうが考える新マナー Yahoo!ニュース https://t.co/CcOALnkhVh #Yahooニュース →電話のくだりは全く同感である。「確実に連絡が取れるように」と言って電話番号を求められることがあるが、私にとってはメールのほうが確実だ。
    about 1か月 ago
  • これだけテレビやモニター技術が発達しているが、ベゼル幅ゼロとか折りたたみ可能ディスプレイというのは、まだまだ実現できないものなのかな。
    about 1か月 ago

メルマガ登録

当サイトでは、記事の更新情報を週に一度、無料でメール配信しております。ご希望の方は以下からご登録ください。


 

ページ上部へ戻る

 

 

ラペルズギルド 自炊と食べ歩き